ビットコイントレジャリー企業最大手のストラテジーは29日、優先株の信用力強化と流動性確保を目的とした「デジタルクレジット資本フレームワーク」を発表した。同日のプレスリリースで明らかにした。なお、同社は先週ビットコインの新規取得を行わなかった。
フレームワークは5項目で構成される。①米ドル準備金の運用方針策定、②STRC配当率の改定、③デジタルクレジット証券の自社買い戻しプログラム、④MSTR普通株の自社株買いプログラム、⑤BTC収益化プログラムの5つだ。
公式書類によると、米ドル準備金は6月28日時点で25億5,000万ドルに達した。取締役会が承認した運用方針のもと、同準備金は優先株配当と社債利払いの支払いにのみ充当できる。
現在の年間優先配当・利払い見込み額は約17億6,000万ドルで、25億5,000万ドルの準備金は約17.4ヶ月分のカバレッジに相当する。取締役会は最低12ヶ月分の準備金維持を会社方針として定めている。
また、取締役会はBTC収益化プログラムを承認した。同プログラムのもと、ストラテジーは最大12億5,000万ドル相当のビットコインを売却して米ドル準備金を積み増すことができる。米ドル準備金とBTC収益化枠を合わせた合計流動性カバレッジは約38億ドル(約25.9ヶ月分)となる。
STRCの配当率は7月1日以降の基準日から適用される半月ごとの期間について、年率12.00%に引き上げる。ストラテジーはSTRCが100ドルの額面付近(99〜100ドル)で推移することを目標とし、配当率は市場環境に応じて毎月見直す方針だ。なおSTRCは現在81.3ドルで取引されており、額面との乖離は18.7%に達している。
さらに、デジタルクレジット証券(STRC・STRF・STRD・STRK)を対象とした最大10億ドルの買い戻しプログラムと、MSTR普通株(クラスA)を対象とした最大10億ドルの自社株買いプログラムも設立した。デジタルクレジット証券の買い戻しはSTRCを優先する方針で、米ドル準備金からは資金を充当しない。
今回のフレームワーク策定の背景には、優先株の財務負担をめぐる市場の懸念がある。仮想通貨データ分析会社のクリプトクアントは23日付のウィークリーレポートで、ストラテジーの優先株STRCの下落要因を分析した。ビットコインの弱気相場に加え、5月に2029年満期のゼロクーポン転換社債15億ドルを買い戻したことで現金準備金が急減したことが背景にあるとしている。
ストラテジーの現金準備金は2026年初来38%減少した。一方、年間優先配当義務は約3億ドルから現在の12億ドルへと約4倍に膨らんでおり、配当をカバーできる期間は7年超から14ヶ月に縮小していた。クリプトクアントは現金準備金と配当カバレッジが回復するまでビットコインの新規購入を停止するよう提言していた。
また、グレースケールのリサーチ部門は27日、STRCの配当率引き上げよりも30億ドル超相当のビットコインを売却して現金支払い義務を賄う方が、市場の信頼回復につながりうるとの見解を示した。
ただ、ストラテジーは5月末に32BTCのビットコインを約250万ドルで売却し、調達資金を優先株の配当支払いに充てた経緯があり、市場心理にネガティブな影響を与えた。今回発表したフレームワークは、こうした市場の懸念に応えるために策定されたものとみられる。
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