スペイン市場規制当局(CNMV)のカルロス・サン・バシリオ委員長は26日、EU(欧州連合)の包括的な暗号資産(仮想通貨)規制枠組み「MiCA」に基づくライセンスを取得できない企業に猶予期間延長や特別措置は認めないと明言した。ロイター通信が報じた。
猶予期間は6月30日に終了し、7月1日以降はライセンスなしでの営業が法律違反となる。特に、仮想通貨取引所大手バイナンスがまだライセンスを取得できておらず、サービス停止となることが注目されているところだ。
バシリオ氏は、移行期間中に顧客が確実に保護されることを優先しており、企業に対して撤退計画を明確にするよう求めていると話した。
また、欧州全域で数百万人のユーザーを抱えるバイナンスにとっては課題が大きいことも認めている。当局としては、顧客の資産を他の事業者へどのように移転させるかを監視していると続けた。
バイナンスはMiCAに基づくライセンス申請に関して、アイルランド・ラトビア・ギリシャの規制当局と対話を行ってきたが、3か国全てが難色を示したと伝えられる。バイナンスは2023年に米国でマネーロンダリング関連法違反を認めて制裁金を支払っており、こうした点やグローバルの企業構造が複雑であることなどが懸念されている形だ。
バイナンスはすでに、EU域内のユーザーに対して7月1日以降はサービスを提供できなくなると通知している。また、数か月以内にMiCAライセンスを取得することを目指しているとも述べた。
MiCA規制下では、あるEU加盟国で認可を受けた企業は、EU全域で事業を行う営業権を得ることができる。その代わり、資本要件、運営体制、顧客資産の保全方法、マネロン防止策などに関する基準を満たさなければならない。
バイナンスの創業者で前CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏は26日、「EUがユーザーを世界最高の流動性から切り離すのを見るのは悲しいことだ。流動性こそが最良の消費者保護だ」とXに投稿した。将来的に状況が変わることを望むとも続けている。
これに対して、競合の取引所OKXの創業者・CEOであるスター・シュー氏はXで「バイナンスは法規制を無視している」と批判した。
報道や裁判所に提出された文書によると、バイナンスの「流動性」には、マネーロンダリング、制裁違反、市場操作などのリスクを伴う取引活動が含まれていたと指摘している。
一方で米国のドナルド・トランプ大統領はCZ氏に恩赦を与えており、その際にはCZ氏は仮想通貨に抑圧的だったバイデン政権による政治的な動きの一環で不当に起訴されていたとの見解を示していた。