暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのリサーチ部門は15日、AI(人工知能)による需要高まりで半導体がインフレーションの要因の一つになっているとの見方を示した。インフレがビットコインに与える影響についても論じている。
バイナンスは、米イラン和平合意が成立し、市場はインフレ問題の一つが解消されたことを歓迎しているとしつつ、3つの構造的なインフレ要因が残されていると指摘した。具体的には「エネルギー、食料、メモリチップ」を挙げている。
また、「メモリチップ」の問題については、市場がまだほとんど織り込んでいないとも意見しており、次のように続けた。
このため、2027年までに生産能力を約30%増強したとしても、以下の状況が続くだろうと見解を示している。
その上で、家電製品は消費物全体における比重が小さいため、消費者物価指数(CPI)への影響はわずか約0.10ポイントにとどまると論じた。
しかし、水面下では企業の売上原価(COGS)圧迫、クラウド料金上昇、デバイスのスペック削減、製品のリフレッシュサイクル(買い替え頻度)長期化などの影響を与えると続けた。
さらに、新しいメモリ工場は建設、認証、量産開始までに2年以上かかるため、DRAMの供給不足は2026年まで約17%、2027年も約15%の供給不足が続くと推測している。NAND(半導体メモリの一種)についても2028年まで供給が不足すると予想した。
バイナンスは、このようにエネルギー、食料、半導体の供給が同時に制約される状況下で、利下げはさらに先送りされ、利上げへの転換も選択肢に入ってくると述べた。そうした状況で短期的には、ビットコインも含めて流動性に敏感な資産は深刻な逆風に直面すると意見する。
現在、特にエネルギーについてはAIデータセンターによる電力需要が急増していることが指摘されている。また、食料については一般的に異常気象による収穫量低下や、天然ガス価格上昇による肥料コスト上昇などがインフレ要因として挙げられているところだ。
ただ、バイナンスが論じたようにエネルギー、食料の供給不足が継続的に続くとは限らないことには留意する必要がある。
バイナンスは長期的には、供給主導型インフレがあらゆる層に浸透し、法定通貨の購買力を構造的に低下させていく場合、ビットコインやそれに類するハードアセットがポートフォリオにおける重要性を増していくとの見解を述べた。
この点については最近異なる動きも指摘されている。JPモルガンのアナリストは11日、法定通貨の価値下落に対するヘッジとしてビットコインや金を保有する動きは減速していると分析した。


