ゲーリー・ゲンスラー前米商品先物取引委員会(CFTC)・証券取引委員会(SEC)委員長は11日、予測市場プラットフォームのカルシとオハイオ州との訴訟をめぐり、オハイオ州を支持するアミカスブリーフ(法廷意見書)を控訴裁判所に提出したと報じられた。
ゲンスラー氏は同意見書で、2010年成立のドッド・フランク法は2008年金融危機後の複雑な金融デリバティブ規制を目的としており、スポーツ賭博をCFTCの管轄下に置くことを意図したものではないと主張した。「ドッド・フランク法の起草に関わった誰もが、CFTCを全国的なスポーツ賭博規制機関にすることについて言及しなかった」と述べた。
今回の訴訟は、カルシが2025年10月にオハイオ州のカジノ管理委員会がスポーツ関連イベント契約の提供停止を命じたことに対し、先制的に提起したものだ。2026年3月に連邦地裁がカルシの仮差し止め請求を却下しており、カルシは現在、控訴審で争っている。
ゲンスラー氏と同日、インディアンゲーミング協会・ネイティブアメリカン部族団体・全米ゲーミング協会(AGA)・ベターマーケッツもオハイオ州を支持する意見書を同控訴裁に提出した。30部族・11部族協会および39州+ワシントンDCも同様にオハイオ州支持の意見書を提出した。
全米ゲーミング協会の意見書は、スポーツ予測市場とスポーツ賭博に実質的な違いはないと主張。カルシ自身の商標出願文書が「スポーツ賭博に関連するサービスの提供」と記載していたことを根拠として示した。インディアンゲーミング協会は、カルシが未規制のゲーミングを部族の土地で展開し、部族や州政府の税収を奪っていると訴えている。
一方、現CFTCのマイケル・セリグ委員長は先月、カルシを支持する独自の法廷意見書を同裁に提出済みだ。セリグ委員長は、指定契約市場が提供するイベント契約はスワップに該当し、CFTCの管轄下にあるとの立場をとっている。
ゲンスラー氏はスポーツ賭博の規制能力という点でもCFTCを批判した。同氏によれば、CFTC委員長として議会で54回証言したが、スポーツ賭博の監督に関する議論は一度もなかったという。また、CFTCはスポーツ賭博を規制するための予算申請を行ったことがなく、「その経験も持ち合わせていない」と述べた。
SEC職員数はCFTCの6倍に上り、元CFTC委員長のロスティン・ベナム氏や、トランプ大統領がかつてCFTC委員長候補に指名したブライアン・クインテンツ氏もCFTCへの予算増額を求めてきた。ゲンスラー氏の意見書は、スポーツ賭博規制には専門知識と人員の両面で同機関が対応できていないとの見解を示した。
今回の管轄権争いを巡っては、連邦控訴裁の領域で州側・事業者側のいずれを支持するかで判断が割れている。CFTCは6月10日に予測市場向けのイベント契約規則改正案を公表しており、スポーツ賭博全般を引き続き認めるが、テロ・暗殺・戦争に関連する賭けは制限する方針だ。最終的には連邦最高裁が判断を下す可能性が高いと予測されている。


