国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週初に1170万円台で取引を開始した後、米・イラン情勢の悪化や米金利上昇を背景に下落基調を強め、週後半には一時1000万円周辺まで水準を切り下げた。
週明けは、米・イラン交渉を巡る不透明感によって原油価格が上昇し、BTCは上値の重い展開で始まった。その後、ストラテジーによるBTC売却や、イランが米国との協議を停止したとの報道が嫌気され、相場は1130万円台まで下落した。
一方、トランプ氏がイスラエルに停戦を呼びかけたことで下げ渋る場面もあったが、ストラテジーの売却が心理的な重石となり、1100万円近辺まで水準を下げた。
その後は、米JOLTS求人件数の上振れを受けて米金利が上昇するなか、BTCは1100万円を割り込むと、米・イランが攻撃の応酬を繰り広げたことも市場心理を冷やし、相場は下値を模索する展開となった。3日には米株の反落や利益確定売りも重なり、BTCは1050万円周辺まで水準を切り下げた。
4日には、ドル建てBTCの6.5万ドル割れを受けて悲観ムードが加速し、BTCは一時1000万円周辺まで急落した。もっとも、200週移動平均線近辺では押し目買いが入り、相場は一時1030万円台まで反発。その後、イスラエルとレバノンが停戦で再合意したことも下支えとなったが、戻りは限定的で、足元では1000万円近辺で方向感を探る展開となっている。
米・イラン関係を巡っては、先週末にトランプ米大統領が60日間の停戦延長に関する覚書の修正を求めた後、イランが米国との協議停止を表明するなど、一時は交渉決裂への警戒感が高まった。しかし、その後もイランのファルス通信は対話継続を報じており、水面下での協議は続いている可能性がある。
また、イラン側が協議停止を打ち出した背景には、イスラエルによるヒズボラへの攻撃継続があったとされるが、米国の仲介もあり、4日にはイスラエルとレバノンが停戦で再合意した。依然として情報は錯綜しているものの、中東情勢を巡る過度な警戒感はやや後退しつつあり、原油価格や米金利の上昇圧力も徐々に和らいでいると言えよう。
一方、需給面では逆風が続いている。米国の現物ビットコインETFは3日まで14営業日連続の資金流出を記録したほか、今週はストラテジーが保有BTCの一部売却を実施した。
売却規模は保有残高全体から見れば限定的だったが、高金利環境が続くなかで資金調達コストの上昇や財務体質の維持を意識した動きとの見方もあり、市場では機関投資家やDAT企業による利益確定売りへの警戒感が強まった。
こうしたなか、BTCドルは3月以降の上昇幅をほぼ吐き出し、200週移動平均線まで下落した。ただ、この水準は過去のサイクルにおいても底値圏として機能してきた重要なテクニカルポイントでもある。無論、投げ売りによる「最後の一押し」にはなお留意したいが、相場は徐々に底入れ局面へ近づいている可能性がある。
また、4日には現物ビットコインETFが14営業日ぶりに純流入へ転じた。流入額は269万ドルと平均日次流入額の9050万ドルには及ばないが、長らく続いた資金流出の流れが断ち切られるかどうかは、今後の相場を見通す上で重要なポイントとなろう。
総じて、短期的には需給面の重石から上値の重い展開が続く可能性がある一方、地政学リスクの後退やETFフロー改善の兆しは相場の下支え材料となりそうだ。BTCは200週移動平均線近辺まで調整を進めており、中東情勢の改善や資金流出の一巡が確認されれば、値固めに転じる可能性がある。