バイナンス・リサーチは4日に発表した最新レポート「Equity Layer: From Tokens to Tickers(株式レイヤー:トークンからティッカーへ)」で、株式のトークン化が世界規模で株式市場へのアクセスを大幅に改善し、2031年までに約3億人の新規投資家と約2兆ドルの新たな資金を呼び込む可能性があるとの見通しを示した。
同レポートは、株式のトークン化によって株式市場は「第3の転換期」を迎えていると位置付ける。1602年のオランダ東インド会社による世界初の公開株式発行、1971年のナスダック電子取引所の開設と並ぶ歴史的な転換点になるとの見方だ。株式がトークン化されてパブリック・ブロックチェーン上で取引されることで、従来の中央集権的な台帳から、時間帯や地理的制約を受けにくいオープンで分散型のインフラへと移行しつつあると論じた。
バイナンス・リサーチによると、世界人口の大半は、現在でも米国株式市場へのアクセスができていない。米国では約62%の国民が株式を保有している一方、米国外では株式市場への参加率が20%未満の国も多い。また、米国株式市場は世界の株式時価総額の約半分を占めるにもかかわらず、海外投資家の保有比率は約18%にとどまるという。
同レポートは、この状況を国際金融市場における「構造的な非対称性」であると位置付けた。一方、株式のトークン化によって株式の小口化が可能になれば、高額な株価が投資の障壁となっている新興国を中心に、これまで参加の機会がなかった個人が株式市場に参入しやすくなると指摘している。
バイナンスは1日、米国上場株式およびETF7,000銘柄超を対象とした取引サービスを、米国外の一部地域・国で開始した。ユーザーは単一のバイナンスアカウント上で仮想通貨と株式を管理でき、最低5ドルから単元未満株への投資が可能となる。
あわせて同社は、トークン化株式商品「bStocks」を数週間以内に投入する計画も明らかにした。
レポートによると、バイナンスの株式取引サービス利用者の約93%は新興国出身だった。同社はこの結果について、株式投資の機会に対する強い需要を示すものだと分析している。新興国では地理的制約や証券インフラの未整備などを背景に、これまで株式市場へのアクセスが限定されてきたと説明した。
同レポートは、仮想通貨取引所が仮想通貨取引に加え、株式取引や現金管理機能などを統合した「金融スーパーアプリ」へ進化することで、従来の株式市場への参入障壁やコストが大きく下がると見ている。
仮想通貨取引所が株式事業に本格的に参入すれば、世界の株式市場に大きな変化をもたらす可能性があると指摘。ベースケースとして、2031年までに仮想通貨取引所を通じて、約2兆ドル(約320兆円)の追加資本と約3億人の新規投資家がグローバル株式市場に流入する可能性があると試算した。
レポートは、特にステーブルコインの役割拡大に注目している。
国際送金を伴う投資では、銀行や証券会社を経由する過程で煩雑な手続きや手数料が発生するが、ステーブルコインを利用することで、現地の銀行を経由して証券口座へ送金する運用上の負担を軽減できるとレポートは指摘した。また1取引あたり平均3.6%、約40ドルの手数料を節約できると試算している。
ステーブルコインの用途は、仮想通貨取引や決済にとどまらない。レポートによると、伝統金融(TradFi)資産に連動する永久先物市場は、すでにステーブルコイン取引量全体の約10%を占める規模に成長しているという。
バイナンス・リサーチは、株の現物取引やトークン化株式市場の発展に従い、この傾向はさらに加速すると見ている。ステーブルコインは、24時間365日、株式市場へのエクスポージャーを求める投資家にとって、有力な決済・清算インフラとしての地位を確立しつつあると結論付けた。