米インターコンチネンタル取引所(ICE)のジェフリー・スプレッチャーCEOは5月29日、バーンスタインのカンファレンスで、大手分散型デリバティブ取引所Hyperliquid(ハイパーリキッド)と相互に協議・学習を進めていることを明らかにした。
スプレッチャーCEOは「我々は彼らと話し合い、学んでいる。彼らも我々から学んでいる」と述べ、ICEがハイパーリキッドの仕組みを研究する一方、同取引所に対して規制された金融市場の仕組みを説明していると語った。
ICEはニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であり、同CEOはハイパーリキッドの規模について「ナスダックより大きい。11人チームで動いている」と発言し、常時稼働の仮想通貨デリバティブ市場が規制された取引所に与える圧力を強調した。
ハイパーリキッドはシンガポールを拠点とする仮想通貨プラットフォームで、満期のない無期限先物(Perp/永久先物)取引を24時間提供する。DefiLlamaのデータによると、過去7日間の週次手数料は1,400万ドルに達し、仮想通貨業界全体で手数料収益3位のプロトコルとなっている。
スプレッチャーCEOは規制当局に対し、既に仮想通貨プラットフォーム上で行われている無期限先物取引を規制された取引所でも提供できるよう求めていることも明かした。「なぜすでに起きていることを我々に禁じるのか。公平な競争環境を作れないのか」と語ったという。
同日、米商品先物取引委員会(CFTC)は予測市場プラットフォームのKalshi(カルシ)に対し、ビットコイン無期限先物の提供を認める許可を発出した。また、コインベースもCFTC規制下の先物事業を通じ、米国機関投資家がグローバルな仮想通貨オプション・無期限先物の流動性にアクセスできるようになったと発表した。
ICEをめぐっては、OKXが5月22日にICEのブレント原油・WTI原油ベンチマークを参照した無期限先物取引を導入したと発表しており、ICEとの提携初のプロダクト化となった。
また、ブルームバーグが5月15日に関係者への取材をもとに報じたところによると、ICEとCMEグループはハイパーリキッドのCFTC登録を働きかけており、匿名取引環境が制裁回避やマネーロンダリングの温床になりかねないと当局・議会関係者に説明したという。
なお、ハイパーリキッドはCFTCとの協議を続ける推進団体「Hyperliquid Policy Center」を通じ、米国ユーザーへの正式な市場開放を目指している。
さらに、スプレッチャーCEOは仮想通貨無期限先物の影響を示す事例として、スペースXの上場前価格形成を挙げた。IPO前に仮想通貨取引所上で形成されたスペースX関連のデリバティブ価格が、実際の上場価格にとって有意味な参照点になるかどうか、市場参加者と規制当局が注視するだろうと述べた。
ブルームバーグのデータによると、スペースX関連の無期限先物はここ2週間の1日平均取引量が約1,800万ドルに達している。
プライベートマーケット・インフラ企業Hecto FinanceのCEO、ウルタン・ミラー氏はDecryptの取材に対し、「スペースXのような企業の価格発見は、銀行シンジケートがIPO申請書類を提出する前に、仮想通貨の取引インフラ上で進んでいる」と述べ、無期限先物はその動向を示す重要なシグナルだとしている。