仮想通貨ビットコインのマイニング企業から次世代データセンター事業者への転換を進めるIREN(旧Iris Energy)は7日、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)との戦略的提携を発表した。本提携は、IRENのグローバルなデータセンター・パイプラインにおいて、最大5ギガワット(GW)規模のエヌビディアDSXアーキテクチャに準拠したAIインフラを展開することを目的としている。
提携の一環として、IRENはエヌビディアに対し、1株あたり70ドルで最大3,000万株を購入できる5年間の権利を付与した。これによりエヌビディアは最大21億ドルの出資を行う権利を取得する。さらに、34億ドル規模のAIクラウド契約も含まれており、テキサス州にあるIRENの2GW規模の「スウィートウォーター」拠点をフラッグシップとして、次世代のAIファクトリー構築を加速させる計画だ。
調査会社バーンスタインのアナリストチームは、今回の開発を両社間における技術的・資本的な「重大な連携」であると評価している。エヌビディアを戦略的パートナーとして確保したことで、IRENは高度なAIインフラ構築に向けた技術支援を得るだけでなく、次世代プラットフォームへの移行期において極めて重要なGPU供給の安定性を高めることに成功したと分析されている。
IRENは現在、ビットコイン( BTC )マイニング事業が売上高の約9割を占めているが、AIクラウド分野への急速なシフトを加速させている。約6億2,500万ドルでのミランティス(Mirantis)社の買収により、ソフトウェア機能を強化し、単なるインフラ提供から垂直統合型のクラウド事業者への脱皮を図っている。
マイクロソフトとの200MW規模のデータセンター契約も進捗しており、AIクラウド事業の年間経常収益(ARR)は2026年までに37億ドルに達する見込みだ。
米投資銀行バーンスタインのアナリストは8日、IRENがビットコインマイニングで培った電力確保と土地利用のノウハウをAIクラウドに転用している点を高く評価している。ザ・ブロックなどが報道した。
エヌビディアのジェン・スン・フアンCEOは、AIファクトリーが世界経済の基盤インフラになりつつあると指摘し、計算・ネットワーク・ソフトウェア・電力・運用の各層における深い統合が必要であると述べ、IRENのインフラ専門知識に期待を寄せた。
今後、IRENはスウィートウォーター拠点において、エンタープライズ顧客の確保という課題はあるものの、エヌビディアのDSXアーキテクチャを採用することで競争優位性を確立する姿勢だ。ビットコインマイニングによる安定したキャッシュフローを維持しつつ、AIインフラという巨大な成長機会を取り込む同社の戦略は、仮想通貨業界におけるデータセンター活用の新たなモデルケースとして注目されている。


