*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は、日本時間30日午前3時に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、一時7万5,000ドルを8日ぶりに下回った。
今回のFOMCでは、3会合連続で政策金利が据え置かれた。これは市場予想通りであったが、声明文の緩和的な内容に対して反対票が3票入ったことで、市場では当面の利下げ見送りが意識された。加えて、イラン情勢の緊迫化に伴うガソリン価格の急騰などを背景に、インフレ再燃への警戒感も強まっている。
成行注文の動向を見ると、FOMC公表後のデリバティブ市場ではショートポジションが優勢となっている(下画像赤枠)。一方、現物市場では売り圧力が一方向に傾いているわけではなく、比較的ニュートラルな状態が続いている(下画像青枠)。このため、現物市場で大きな売りが出なければ、デリバティブ市場に積み上がったショートポジションが買い戻される、いわゆるショートカバーが発生しやすい局面でもある。
オプション市場に目を向けるとPCR(プット・コールレシオ)はFOMC前からやや上昇しており(下画像黄色矢印)、投資家態度はやや弱気になっていると考えられる。(下画像青枠)。
また、NansenのAPIを用いて、4月に相次いだDeFiハッキング事件を受け、勝率の高いトレーダーがどのようなポジションを取っているかを分析した。
その結果、BTC、ETH、SOLのいずれもショートポジションに偏った状態となっている。特にSOLではショートポジションの偏りが目立っており、DeFi関連リスクへの警戒感が強く反映されていると考えられる。
今回のFOMCでは、イラン情勢の混迷による物価高リスクが意識され、利下げ期待は明確に後退した。金融緩和が進みにくい環境が続く場合、金利を生まないビットコインなどのリスク資産には下押し圧力がかかりやすい。
一方で、暗号資産市場には政策面での追い風も残っている。米国では、クラリティー法案の可決が5月中になされるとの報道もあり、規制の明確化が進めば、ステーブルコインやデジタル資産市場への新規参入が増える可能性がある。
足元では、FOMC後の利下げ期待後退、地政学リスク、DeFiハッキングによる警戒感が相場の重石となっている。しかし、現物市場の売りが限定的であること、ショートポジションが積み上がっていること、さらに米国の規制整備期待が残っていることを踏まえると、相場は一方向に下落するというより、政策材料とポジション調整に左右されやすい局面に入っているといえる。