ホワイトハウス大統領経済諮問委員会(CEA)は4月8日、ステーブルコインへの利回り付与が銀行の信用活動に与える影響をまとめた調査レポートを公開した。同レポートは、銀行業界が求める利回りの禁止措置について、銀行融資の保護には事実上ほとんど寄与しないと定量的に結論づけている。
2025年7月に成立したジーニアス法は発行体による直接の利回り付与を禁じており、現在審議中のクラリティー法案でも同様の制限の是非が最大の争点となっている。米国独立地域銀行協会(ICBA)などの銀行側は、利回りが解禁されれば最大1兆3,000億ドルの預金が流出し、8,500億ドルの融資減少につながると警告してきた。
しかしCEAの独自のモデル分析によれば、ステーブルコインの利回りを完全に禁止した場合でも、増加する銀行融資額はわずか21億ドル(約0.02%増)にとどまる。その反面、消費者側には8億ドル規模の消費者コストが発生するため、利回りを禁止する実質的な法制メリットは極めて薄いと算出されている。
この分析の背景には、ステーブルコイン準備金の約88%がすでに国債や銀行預金として既存の金融システム内に還流しているという独自の需給構造がある。ユーザーの資金がステーブルコインに移動しても準備金の大部分がシステム内に留まるため、銀行業界が警戒するような巨大な信用収縮は発生しない事実が示された。
CEAの客観的データは、ステーブルコインの利回りを巡る銀行業界と仮想通貨業界の激しい対立構図に直接的な影響を及ぼすものだ。すでに米国最大の仮想通貨取引所であるコインベースが利回り禁止条項に反発しており、1月にはこれを受けて上院銀行委員会でのクラリティー法案の審議が延期された経緯がある。
3月に複数の上院議員から利回り対象を特定の報酬プログラムに限定する妥協案が提示されたものの、条文が過度に限定的であるとして仮想通貨業界からの支持は得られていない。予測市場のポリマーケットにおける同法案の年内成立確率は年初の90%台から大幅に下落し、現在は60%台の低水準で推移している。
政治日程の制約上、中間選挙が本格化する2026年8月までに同法案を上院で可決できるかどうかが最大の焦点となっている。今回のホワイトハウスによる分析結果は、利回り禁止措置の合理性を根底から再評価させ、議会における法制化の膠着状態を打開する論理的要因となることが見込まれる。