ブルームバーグは3月10日、カナダのサブプライム消費者金融大手ゴーイージー(銘柄コード:GSY)の株価がトロント証券取引所で最大60%急落したと報じた。同社はサブプライム向け自動車・レジャー用品ローンを手がける子会社レンドケアの不良債権処理として約3億3,100万カナダドル(約387億円)の損失計上と、配当の即時停止および業績見通しの全面撤回を同時に発表した。
損失の核心はレンドケア部門にある。2021年に3億2,000万カナダドルで買収したこの部門では、収益水増しのために延滞口座の支払いを操作していた疑惑が浮上。1億7,800万カナダドルの不良債権償却に加え、ローン利息・手数料の5,500万カナダドル評価損も計上される。
同社CFOは「向こう数四半期は純償却率の上昇と延滞増加を見込む」と述べた。2026年の年間純償却率はティーンズ中盤への上昇が予想されており、同社の財務的な余裕は急速に縮小している。
今回の急落が市場関係者の注目を集めているのは、その背景にあるより大きな構造問題のためだ。
カナダの金融アナリスト、ブレント・リチャードソン氏はXで「サブプライム融資は信用サイクルの末期に最初に崩れる。住宅ローンのデフォルトや強制売却の炭鉱のカナリア(初期警告)になりうる」と指摘。先週のブラックロックによる旗艦ファンドの解約制限、ブラックストーンのプライベート・クレジットファンドの解約急増に続き、今回のゴーイージー急落が連鎖の一端を担うとの見方が広がっている。
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ロイターおよびグローブ・アンド・メールは3月10日付の分析記事で、現在のプライベート・クレジット市場のストレスが2007年のサブプライム住宅ローン危機と「韻を踏む」との見方を示した。
プライベート・クレジットのデフォルト率は2025年に過去最高の9.2%を記録し、2024年の8.1%をさらに上回った。市場規模は約2兆ドルと2007年の住宅担保証券市場(7.2兆ドル)より小さいものの、規制の不透明さと個人投資家の参入拡大が懸念材料として挙げられている。
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仮想通貨市場への直接的な影響はまだ明確ではないが、警戒感は高まっている。
ビットコインはリスク資産との連動性を高めており、プライベート・クレジット市場の流動性収縮が広範な信用スプレッド拡大につながれば、仮想通貨も例外ではないとの見方がある。
加えて米・イラン間の軍事的緊張という地政学リスクも重なり、マクロ環境全体の不透明感が増している。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOもプライベート・クレジット市場に「ゴキブリ(問題の連鎖)」があると警告している。
現時点で2007〜2008年型の金融危機再来を確実視する意見は少数派だが、「韻は踏んでいる」との警戒感は無視できない。仮想通貨市場にとって、プライベート・クレジットの動向と米・イラン情勢の行方が当面の最重要なマクロ変数となる。
3月25日のゴーイージー決算発表と、プライベート・クレジット市場全体のデフォルト率の推移が注視される。
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