仮想通貨取引所バイナンスの創業者、チャンポン・ジャオ(CZ)の純資産が1,100億ドル(約16兆円)に達し、フォーブスが10日に発表した世界長者番付で17位に浮上したことが分かった。前年比470億ドル増で、過去最高を更新した。
CZはわずか17カ月前、マネーロンダリング防止義務違反の罪で有罪を認め、米カリフォルニア州の刑務所で4カ月間服役していた。バイナンスも43億ドルの罰金を支払い、CZはCEOを辞任した。しかし今回の急激な資産増加により、長年にわたり世界長者番付の上位に君臨してきたビル・ゲイツ(純資産1,080億ドル、19位)をも上回った。
資産急増の主因はバイナンスの企業価値回復だ。同取引所はスポット・デリバティブ市場を合わせた年間取引高が30兆ドルを超え、世界最大の仮想通貨取引所としての地位を維持。市場シェアは約38%に上る。
仮想通貨データ会社アルテミスのアナリストによると、バイナンスの2024〜2025年の売上高は推定160〜170億ドルで、米コインベースの約2.5倍に相当する。CZは非公開のバイナンス株式を約90%保有しており、企業価値は約1,000億ドルと推定される。
資産回復の背景には政治的な追い風もある。トランプ大統領は2025年10月、CZに対し恩赦を付与。バイナンスはトランプ一家の仮想通貨事業「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)」が発行するUSD1ステーブルコインを、アブダビの投資会社MGXによる20億ドルの出資受け入れに採用した。CZは先月、ワールド・リバティ主催のマール・ア・ラーゴフォーラムに出席し、米国ビジネス界への復帰を印象付けた。
一方、コンプライアンス面での懸念は払拭されていない。フォーチュン、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズの3媒体が最近相次いで、バイナンスがイランの制裁対象企業への10億ドル規模の送金を指摘した社内調査担当者を解雇したと報道した。バイナンス側はこれを否定し、コンプライアンス体制の適正を主張している。
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なお、CZは過去に富豪ランキングの評価額に繰り返し異議を唱えてきた経緯がある。2025年10月、フォーブスが純資産873億ドル・世界21位と報じた際、CZはXへの投稿で「正確ではなく、大幅に高すぎると思う。ただ、それは重要ではない。重要なのは何人の人を、どれだけ助けられるかだ」と反論した。
同月、胡潤研究院が中国富豪13位・資産1,900億元(約267億ドル)と推計した際も、CZはXで「ナンセンス。100で割った数字が実態に近い」と一蹴。額面通りに受け取れば、実際の資産は約19億元(約2億6,000万ドル)程度となり、各メディアの推計値とは大きく乖離する。
今回の1,100億ドル評価に対するCZのコメントは現時点では確認されていない。
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