ウォール・ストリート・ジャーナルが3月9日に報じたところによると、米証券取引所ナスダックは仮想通貨取引所クラーケンの親会社ペイワードと提携し、株式のトークン化を軸とした新たな市場基盤の共同開発を正式発表した。
両社が構築するのは「エクイティ・トランスフォーメーション・ゲートウェイ」と呼ばれる仕組みで、クラーケンのトークン化株式プロダクト「xストックス」を基盤インフラとして採用する。
クラーケンによると、xストックスは2025年6月のサービス開始から1年未満で累計取引高が250億ドルを超え、オンチェーン決済額は40億ドル以上、ユニーク保有者数は8万5,000人以上に達している。
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この提携の背景には、ナスダックが2025年9月に米証券取引委員会(SEC)へ提出した申請がある。上場株式やETFのトークン版を従来の株式と並行して取引できるよう求めたもので、今回の新枠組みはその延長線上に位置づけられる。ナスダック社長のタル・コーエン氏は「これまでのトークン化は発行体を意識せずに進んできた。我々の取り組みは発行体のニーズを中心に据えている」と述べた。
新たなゲートウェイは、規制された許可型市場と、オープンなブロックチェーンネットワークを介した許可不要のDeFiエコシステムとを、双方向でシームレスに接続する設計となる。トークン保有者には株主投票や配当受領など、従来株主と同等のガバナンス権利が付与される予定で、ナスダック上場企業以外の発行体も参加できるオープンな枠組みとなる。
こうした動きはナスダックとクラーケンにとどまらない。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)は仮想通貨取引所OKXへ出資し、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・アセット・マネジメントもトークン化マネーマーケット・ファンドを相次いで展開するなど、大手金融機関によるトークン化への参入が加速している。
アーク・インベストは2030年までにトークン化資産が11兆ドルを超えると予測しており、業界全体でのインフラ整備が急速に進みつつあるという。
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また、クラーケンはすでに3月5日に70銘柄以上のトークン化株式をオンチェーンで取引できる実行レイヤー「xチェンジ」を立ち上げており、アトミック決済や24時間対応のパーペチュアル先物の提供も開始している。さらに、クラーケンは仮想通貨取引所として初めて連邦準備制度のマスター口座承認を取得しており、既存の金融規制枠組みへの統合を着実に進めている。
ナスダックとペイワードは2027年上半期のゲートウェイ稼働を目標に掲げており、まずはxストックスが利用可能な欧州などの市場から順次展開する方針だ。SEC承認を前提とした本枠組みが実現すれば、伝統的な資本市場とブロックチェーンを結ぶ制度的な接点として、世界の株式市場構造を変える試金石となりうる。
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