*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は19日から20日にかけて乱高下する展開となった。今回の価格変動の主因は、米国における「仮想通貨市場構造法案(クラリティー法)」を巡る暗号資産業界と銀行業界の公開協議である。
ホワイトハウスが3月1日を期限として設定する中、クラリティー法案に関する協議は予定されていた2時間を大幅に超過したものの、最終的に妥協には至らなかった。この結果、法案成立への不透明感が意識され、市場は方向感を欠く低調な推移となった。
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デリバティブ市場の動向を見ると、オプション市場におけるプット・コール・レシオ(PCR)は全体として低下傾向にある。これは、投資家が下落リスクへの警戒をやや後退させていることを示しており、クラリティー法案の成立を見越した先回り的なポジション構築の動きが一部で進んでいることを示唆するものである。
しかしながら、市場心理を示すCrypto Fear & Greed Indexは過去1年間で最低水準に位置しており、「Extreme Fear(極度の恐怖)」の状態にある。これは、市場参加者の不安心理が依然として極めて強いことを意味しており、価格の不安定性が継続する可能性を示唆するものである。
他の主要アセットの観測期間2カ月の相関を見ると、S&P500(-0.09)、ゴールド(-0.25)、原油(-0.24)となっており、いずれも明確な相関関係は確認されていない。このことは、現在のビットコイン価格が株式市場やコモディティ市場といった伝統的金融市場の影響ではなく、規制動向や業界構造といった暗号資産特有の内部要因によって主導されていることを示している。
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暗号資産市場の今後を見る上で、クラリティー法案の成否は極めて重要な分岐点となる。
すでに成立しているステーブルコイン規制法であるジーニアス法は、暗号資産業界に制度的正当性を与え、新規参入を促進する要因となることが見込まれる。しかしながら、クラリティー法案の成否次第では、規制の厳格化によって市場参入のハードルが上昇し、ステーブルコインを起点とした資本流入を鈍化させる可能性がある。
クラリティー法案は3月1日が期限とされているなか、今後の進展次第では市場の方向性が大きく転換する可能性がある。したがって、今後の法案協議状況を注視することが、現局面における最も重要な分析視点となっている。
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