AIエージェントやソフトウェア同士が自動で支払いを行う「マシンエコノミー」の実用化に向けた動きが加速している。
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは11日、AIエージェント専用に設計されたウォレットインフラ「Agentic Wallet」を発表した。また同日、米決済大手ストライプもコインベース開発の決済プロトコル「x402」を統合したマシン向け決済システムのプレビュー版を公開した。
コインベースはAgentic Walletを、単なるエージェント向けの組み込みウォレットではなく、「自律的な金融活動に特化した専用インフラ」と位置付けている。このウォレットは2024年11月リリースされたAgentKit(AIエージェントにウォレット機能とオンチェーン操作を組み込むための開発キット)を基盤に構築されており、自律型AI向けに設計された決済プロトコル「x402」を採用している。
コインベースによると、x402はすでに5,000万件以上の取引実績を持つ。このプロトコルを活用することで、人間の介入なしに、マシン間決済やAPIによる少額決済利用、そしてプログラムによるリソースへの自動アクセスが可能になるとコインベースは説明した。
同ウォレットが提供する自律性は、無制限のアクセスを意味するものではないとコインベースは強調。以下の機能が組み込まれている。
コインベースの開発プラットフォームでエンジニアリング責任者を務めるエリック・レッペル氏によると、今回のウォレットリリースは、AIエージェントにおいて増大するセキュリティリスクに対応するためのものだ。
一方、Agentic WalletはAI環境における「スキル」として機能し、安全性を確保するため秘密鍵はエージェントのコアロジックとは分離されて保管される。
コインベースはAgentic Walletsで可能になる自律的な活動として、以下の例を挙げている。
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決済大手ストライプは、コインベースが開発したイーサリアム互換レイヤー2ブロックチェーン 「Base」 上で、機械間決済プロトコル x402 を統合したシステムのプレビュー版を公開した。開発者は、ストライプの既存APIで数行のコードを書くことで、AIエージェントに直接課金可能になる。
例えば、データ提供APIを1回呼び出すごとに0.01ドルを課金するといった少額決済が、プログラムだけで完結するようになる。
同社のプロダクトマネージャー、ジェフ・ワインスタイン氏は、ストライプがAIエージェント、人間、企業がすべて取引を行う未来に向け、ビジネスの成長を支える経済インフラを構築していると説明した。現在は人間のユーザーが数十億人規模だが、将来的には自律型AIエージェントが数兆単位に達すると予想され、その一部はすでにMac mini上で稼働を始めているという。
まずはBase上でステーブルコインUSDCを使用したx402のサポートを開始するが、今後さらに多くのプロトコルや決済方法、通貨、チェーンに対応していく予定だと、同氏は付け加えた。
ストライプは昨年9月、AIエージェントが企業とプログラム単位で直接取引を行うための初の標準規格「エージェント経済プロトコル(Agentic Commerce Protocol)」を発表した。これはOpenAIとの共同開発によるもので、既存の商業システムともシームレスに連携できるように設計されている。
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