米国上院農業委員会は29日、暗号資産(仮想通貨)市場構造法案(クラリティ法案)を12対11で可決した。僅差となったのは、ドナルド・トランプ大統領とその家族の仮想通貨事業をめぐる議論なども背景にある。
上院農業委員会は先週、商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限を拡大し、非管理型ソフトウェア開発者やインフラプロバイダーの保護など、分散型金融(DeFi)に有利な措置を講じる法案本文を発表していた。
議員らは、法案本文に対して複数の修正案を提出した。その中には、ドナルド・トランプ大統領の利益相反に対処するものも含まれていたが、今回これは採決されなかった。
以前より、民主党の一部からはトランプ氏の仮想通貨事業が利益相反にあたるのではないかとの批判が上がっている。トランプ氏は、DeFi事業「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」などから約14億ドルを得ていると伝えられるところだ。
関連: トランプ大統領就任1年、一族の仮想通貨保有額が計2200億円超に=ブルームバーグ
マイケル・ベネット上院議員(民主党)は、「デジタル資産倫理法」を追加し、大統領や副大統領、議員による仮想通貨取引を制限するという内容の修正案を提出。次のようにコメントしていた。
農業委員会のブーズマン委員長は、ベネット氏の懸念には感謝すると述べた。一方で、選出された連邦政府職員とその家族が仮想通貨を保有することに関する問題は、クラリティ法案の範囲を超えており、他の委員からの更なる意見聴取が必要だと述べた。
クラリティ法案については今後、上院銀行委員会が公聴会を開き、法案の修正について審議を行うことになる。その後、上院農業委員会と合同で法案を1つにまとめた上で、本会議での採決にかけられる見込みだ。
上院本会議で可決するには60票が必要であり、これには共和党議員全員と民主党議員の一部の支持が必要になる。民主党は今回の農業委員会の法案を支持していない状態であるため、可決されるかどうか見通しは不透明だ。
仮想通貨取引所大手コインベースは、ステーブルコインへの間接的な利回り禁止などに反対してクラリティ法案への支持を撤回している。これに対して、銀行業界は預金の流出を懸念してステーブルコイン利回りに反対しているところだ。このため審議はますます難しくなっている。
トランプ政権は、来週月曜日に銀行と仮想通貨業界の幹部との会合を開催し、クラリティ法案における妥協点を探る予定だと伝えられている。
関連: ホワイトハウスが銀行と仮想通貨業界の会合主催予定、市場構造法案妥協点模索へ
上院農業委員会での可決を受け、下院金融サービス委員会および下院農業委員会の委員長らは、法案を成立させることを呼びかける声明を発表した。下院農業委員会のグレン・トンプソン委員長は「クラリティ法案採択を嬉しく思う」として、次のように続けている。