*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は直近24時間で約80万円の乱高下となった。米株式市場の取引開始前、FRBのウォーラー理事が今後も利下げを継続すべきとの見解を示したことを受け、リスク資産全般が買われ、一時は9万ドルを突破した。
しかしその後、オラクル社がOpenAI社向けに計画していた100億ドル規模のデータセンター建設に対し、ファンドが資金拠出を中止したとの報道が伝わり、AI関連を中心にハイテク株が広く売られた。この動きに連れ安となる形で、ビットコインも大きく下落した。
AIデータセンターへの投資環境は、一部において仮想通貨マイニングセンターとの設備転用が可能であることから、両者は資本投下の観点から密接な関係にある。
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成行注文の動向を見ると、現物市場は概ねニュートラルな動きである一方、デリバティブ市場ではロングポジションが増加している(下画像青枠)。値ごろ感を背景とした打診的な買いが入っていると考えられる。
オーダーブックの状況を見ると、急激な値動きの影響により板が薄くなっている。8万ドル水準にサポートが見られるものの、それ以外の価格帯では明確に支えるポジションが乏しく、価格が上下に振れやすい不安定な地合いとなっている。
オプション市場では、プットポジションの増加を背景にPCR(プット・コール・レシオ)が上昇しており、市場参加者の投資家心理はかなり弱気に傾いている(下画像黄矢印)。直近では、7万ドル水準のポジション増加が目立つ動きとなっている(下画像赤枠)。
18日には米国の消費者物価指数(CPI)、19日には日銀金融政策決定会合の結果公表を控えており、株式市場では持ち高調整を意識した慎重な動きが続いている。このような環境下において、ボラティリティの高いビットコインは全体として弱含みの展開となっている。
さらに、クリスマス休暇を控えた時期であり、市場流動性は低下傾向にある。そのため、わずかな需給変化でも価格が大きく振れやすい状況にある。
特に19日の日銀金融政策決定会合に関しては、利上げ観測が一部で報じられている。過去3回の利上げ局面(2024年3月、7月、2025年1月)においてはいずれも、円キャリー・トレードの巻き戻しによる急落が確認されており、警戒が必要だ。
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