*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は反発の勢いを強めている。4日午前7時頃に開始されたイーサリアム( ETH )の「フサカ・アップデート」を好材料とし、2日に付けた8万3,000ドル台から1万ドル(円ベースで150万円以上)の上昇を見せた。さらにFRBの次期議長に暗号資産(仮想通貨)に友好的なハセット氏が就任する可能性が報じられたことや、米国とベネズエラの間で軍事的緊張関係が高まっていることも価格上昇の一因となっている。
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ビットコインのデリバティブ市場におけるアクティブOI(成行注文ベースの未決済建玉)は、価格が上昇しているにもかかわらず減少している(下画像赤線)。この現象は、①ショートポジションの清算、②アップデートが実施されたイーサリアムへ資金が流入したことなどが要因である。ロングポジションへの偏りが若干見られることから(下画像青枠)、押し目を形成しつつ上昇基調を維持する可能性が高い。
また、現物市場の成行注文状況を確認すると、執筆時点においてイーサリアムのアップデートに伴う「事実確定売り」はほぼ観測されていない。
オプション市場においては、プット・コールレシオが低下しており、市場心理は強気に傾いている(下画像黄矢印)。下値は8万5,000ドルおよび8万ドル水準におけるプットポジションが支持線となる一方、10万ドルのコールポジションが増加し最大建玉となっている。市場参加者の中心的な見立ては、10万ドル付近が上昇の目標値となっている。
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足元では、ショートカバーを契機とした一時的な反発により、1日に発生した下落分を取り戻す展開となった。
今後、FOMCが控えるが、量的引き締め政策(QT)が1日に終了し、さらに利下げの結果となる場合、流出事故などの突発的な事象が発生しなければ、ビットコインは12月中旬頃まで10万ドル前後を目標に上昇基調を維持する可能性がある。
ただし、12月後半から米国市場がクリスマス休暇に入ることに加え、ストラテジー社の指数残留・除外に関する判断が1月15日に予定されているとの報道もあり、時間的不確実性リスクは依然として存在する。ビットコインは12月中下旬以降は流動性の低下に伴い、上値の重い展開に移行する可能性が高いと考えられる。
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