米国の下院金融サービス委員会の共和党議員は12月2日、53ページの報告書「オペレーション・チョークポイント2.0: バイデン政権による仮想通貨のディバンキング」を公表した。過去数年間のバイデン前政権の仮想通貨政策に関する調査結果をまとめている。
報告書は「バイデン政権は仮想通貨関連活動への関与をほぼ不可能にしようとした」と指摘した。規制当局に過度な裁量を与え、金融機関に十分な確実性を提供しない規制体制を利用したと批判。共和党議員らはチョークポイントの第3バージョンが起きないよう対策を求めている。
オペレーション・チョークポイント2.0という言葉は、キャッスル・アイランド・ベンチャーズ共同創設者ニック・カーター氏が2023年に作った造語だ。オバマ政権時代に銃器販売業者など高リスクとみなされた業種への銀行サービスを制限した動きとの類似性を指摘している。
仮想通貨業界関係者が銀行サービスを拒否される懸念は最近再び表面化した。ビットコイン決済アプリストライクのジャック・マラーズCEOが11月24日、JPモルガン・チェースに適切な説明なしに個人口座を閉鎖されたと明らかにした。
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報告書の大部分は規制当局の過去の行動と声明に焦点を当てている。ゲーリー・ゲンスラー前証券取引委員会委員長が大半の仮想通貨を未登録証券と主張し、「まず執行、ルール策定は決してしない」戦略を推進したことなどを取り上げた。
トランプ政権発足後、連邦準備制度理事会、通貨監督庁、連邦預金保険公社は既に、銀行の顧客関係を評価する際に「評判リスク」を考慮しないと約束している。証券取引委員会(SEC)はトランプ氏が指名したポール・アトキンス氏が率いており、ゲンスラー氏とは明確に異なる立場と方針を示している。
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共和党議員は規制当局にルール策定を優先するよう求めるとともに、仮想通貨に関する議会立法を推進している。下院議員らは上院に対し、仮想通貨市場構造法案(いわゆるクラリティ法)の可決を呼びかけている。同法は証券取引委員会と商品先物取引委員会(CFTC)がどのように業界を監督するかを指定することで、仮想通貨の規制枠組みを確立するものだ。
一方で、下院司法委員会の民主党議員は先週、トランプ大統領が「大統領執務室を世界で最も腐敗した仮想通貨スタートアップ事業に変えた」とする報告書を発表した。ブルームバーグは7月、大統領が家族の仮想通貨事業から6億ドル以上の利益を得たと試算した。民主党はこうした利益相反が仮想通貨市場構造法案の協議における重要な懸念事項だとしている。
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