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暗号資産の金商法移行が本格化、分離課税実現へ最終局面=ブロックチェーン議連

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11月17日、ブロックチェーン推進議員連盟が第31回会合を開催した。

その中で、暗号資産を金融商品取引法の規制対象として位置づける方向で検討していることを明らかにした。来年の通常国会での法整備を目指している。

平将明会長代理(衆議院議員)は、税制について「いよいよ最終局面となっており、総仕上げとなる」と開会の挨拶を述べた。

金融審議会の暗号資産ワーキンググループは7月から検討を進めており、現在5回の会合を開催。暗号資産が投資対象として位置づけられている現状を踏まえ、有価証券とは別の規制対象として金商法に位置づける方針だ。見直しの対象となる暗号資産は、現在の資金決済法上の暗号資産を前提としている。

具体的な規制内容として、暗号資産を「発行者・中央集権的管理者が存在するもの」と「発行者が存在しないもの」の2つに分類。前者については発行者が投資者に対して情報提供を行う義務を課し、後者については交換業者に情報提供義務を課す方向で議論している。

ただし、JBAからは、この2つの類型の中間に位置する暗号資産も存在するとの指摘があり、発行者の定義の明確化が課題となっている。

また、国際的な動向や海外での訴追事案を踏まえ、暗号資産のインサイダー取引規制を整備する方針。暗号資産にかかる不公正取引については、証券取引等監視委員会の犯則調査の対象とするとともに、課徴金制度を導入する。

登録業者に対する罰則も、現在の3年以下の懲役刑から金商法に基づき5年以下に引き上げる。金商法への移行により、情報開示の充実、利用者保護の強化、不適切な投資勧誘行為への対応など、包括的な規制の枠組みが整備される見込みだ。

議員連盟では、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)、日本ブロックチェーン協会(JBA)、新経済連盟の3団体が、暗号資産の売却益について20%の申告分離課税を求める要望を提出した。

要望では、現行の雑所得(最高税率55%)から申告分離課税(所得税15%、住民税5%)への変更を求めるとともに、損益通算および繰越控除の導入を訴えている。分離課税の範囲については、暗号資産の種類やウォレットの種類による区分をせず、取引業者等による取引報告を前提に、現物取引およびデリバティブの双方を対象とすることを要望した。

金融庁は、税制改正については「国民の資産形成に資する金融商品と位置づけること」「上場株式等と同様な投資家保護の枠組みを整備すること」「税務当局への報告義務を整備すること」の3つの要件のもとで検討するとしており、金商法の改正が前提条件となる。

JVCEAは、暗号資産の審査項目として、発行者の特定、マネーロンダリング対策に加え、ICO(Initial Coin Offering)やIEO(Initial Exchange Offering)についてはプロジェクトの適切性や収益性等も審査していると説明した。

JCBAは、法人が保有する暗号資産について、一律に棚卸資産として扱う現行制度の見直しを要望した。

暗号資産の保有目的が販売目的だけでなく、決済手段やガバナンス投票、ステーキングなど多様化している実態を踏まえ、譲渡所得等とする可能性を含めた法制度整備を中長期的な課題として提示することを求めている。特に営利目的で継続的に売買していない暗号資産については、保有期間や目的に応じた課税方法の再検討を要望した。

業界団体は、暗号資産レバレッジについて、現在2倍に制限されている内閣府令を見直し、法人と同等の10倍程度まで引き上げるなど、より柔軟性の高い運用ができる制度整備を求めた。また、米国では暗号資産ETFが承認されていることを踏まえ、日本でも暗号資産投資信託の発行および取扱を可能にする制度整備を要望している。

JBAからは、セキュリティ強化を目的とした「Japan Cold Wallet」構想が提案された。政府が運営する大規模なコールドウォレットに日本の暗号資産を集約し、海外送金や自己管理型ウォレットへの送金時のみブロックチェーンを使用することで、ハッキングリスクを大幅に低減できるという。

JBAは「ウォレット管理部分こそがイノベーションの源泉であり、同時にセキュリティ上最も複雑な領域だ」と指摘した。

木原誠二会長(衆議院議員)は総括で、自身を「超推進派」と位置づけた上で、「金商法に入り、申告分離課税に持っていくということは、業界の皆さんが考えているよりも重い。政府としても奨励していくという一段階レベルが上がることだ」と述べ、投資家保護の徹底を業界に求めた。

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