著名投資家ダリオ、FRBの量的緩和再開はバブル加速への引き金 更なるインフレリスクを警告
世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」創設者レイ・ダリオ氏は6日、Xに投稿した記事「バブルへの刺激」で、現在の経済状況における米連邦準備制度理事会(FRB)の量的引き締め(QT)終了と量的緩和(QE)再開の決定は、「バブルをさらに悪化させる刺激策」となる可能性があると警告した。
FRBが過去に実施したQEは、資産安や経済の弱体化、低いインフレ率、流動性の問題などを抱えた「不況への刺激策」だったが、今回は全く逆の状況下で行われようとしている。
ダリオ氏は、現在のQEは「バブルへの刺激」と言えるとして、次のように述べた。
まさにこのような点が、今回の状況をこれまでのQEと異なるものにしており、「より危険でインフレを引き起こしやすい」と同氏は警鐘を鳴らした。
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ダリオ氏は、以下に示すような現在の状況は、同氏の著書「How Countries Go Broke: the Big Cycle」(国家が破綻する仕組み:ビッグサイクル)で解説した「典型的な大債務周期における最終段階の兆候」であると指摘した。
同氏の「大周期(Big Cycle)理論」とは債務、政治、社会、通貨などの構造が数十年単位で繰り返す循環的な変化を捉え、国家や経済の盛衰を分析するフレームワークだ。歴史を振り返ると、オランダや大英帝国、中国などの強力な国々もこの周期を辿ってきた。アメリカ合衆国もこの周期から逃れることはできないとしている。
今、75年の周期をもつ「大債務周期」における典型的な節目が近づいていると同氏は主張している。
FRBによる量的緩和の拡大は、リスクプレミアムや実質金利の低下、株価収益率の上昇につながる。特に長期的なキャッシュフローを生む資産(テック・AI・グロース株など)や、金(ゴールド)やインフレ連動債といったインフレに強い資産の評価額を押し上げる効果が期待されると述べた。
しかしその後、QEはインフレ率をさらに押し上げると予想される。QEによって実質金利が下がってもインフレ期待が上昇した場合、実質リターンは低下することになる。
ダリオ氏は、このメルトアップ(価格急騰時)時、およびバブルが最も膨らみ、インフレ抑制のための金融引き締めが始まる直前が、「売り抜けのベストタイミング」であると指南した。
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