市場予想上回る米中関税引き下げ合意で「リスク選好」強まる 機関投資家の資金流入は4週連続増
米中両国は12日、スイス・ジュネーブでの貿易協議で追加関税の大幅引き下げで合意し、暗号資産(仮想通貨)市場を含むグローバル金融市場にとって重要な不確実性の一つが大幅緩和された。
共同声明によると、米国は中国に対する関税率を現行の145%から30%に、中国は米国に対する関税率を125%から10%へとそれぞれ115%引き下げる。両国は14日までにこれらの措置を実施し、90日間の「関税停止期間」を設けて経済・貿易関係について協議を継続する。
ベッセント米財務長官は「どちら側もデカップリング(分断)を望んでいないという点で一致した」と発言。両国は当初設定していた相互関税率34%に戻した上で、上乗せ部分の24%を90日間停止し、基本税率の10%とする形となる。
13日の東京株式市場は米中合意を好感し、日経平均は3月26日以来の3万8000円台を回復。市場関係者からは「早く協議がまとまった点でポジティブサプライズ」「関税引き下げ幅が想定より大きく、米中交渉長期化を見込んだ投資家のショートカバーを誘発」との分析が出ている。
仮想通貨市場もビットコイン(BTC)が一時急騰するなど、世界的なリスク選好の改善を受けマクロ経済の不確実性低下による恩恵を受けた。
特にインフレ懸念の緩和は、ビットコインが守ってきた10万ドル水準の安定化につながり、機関投資家の新規資金流入を後押しする要因となりそうだ。ただし市場では「持続力には懐疑的な見方もある」とされ、今後90日間の交渉進展を注視する必要がある。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比-0.78%の1BTC=101,943ドルに。
米中貿易協議の進展による関税引き下げ合意を受けて一時上昇したものの、過去最高値を更新するには至らず反落。数週間続いた上昇相場による利益確定売りが優勢となったとみられる。
昨今では好材料が相次いでいた。米国では州レベルでの仮想通貨準備金設立が相次いでおり、潜在的な買い圧力につながることが期待される。
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また、米ニューヨークのエリック・アダムス市長は、20日にニューヨーク初となる公式の仮想通貨サミット開催を発表し、「ニューヨークを世界の暗号資産の中心地にする」という長年の構想実現に向けた取り組みを強化する姿勢を示した。
資産運用会社CoinSharesの 週次レポート によれば、先週の上場投資商品(ETP)への資金流入は、4週連続となる資金流入を記録し、純流入額は8億8,200万ドルに達した。
米国のビットコインETF(上場投資信託)が累計額の節目を達成する中、市場全体の運用資産総額は1,693億ドルと過去最高水準に迫っている。
CoinSharesの調査責任者ジェームズ・バターフィル氏によれば、ビットコイン関連ファンドは4週連続で資金流入を記録し、年初来の流入額は67億ドルに達した。これは今年2月に記録したピークの73億ドルに近づく水準だ。
同氏は「価格と流入額の急上昇は、世界的なM2マネーサプライの増加、米国におけるスタグフレーションリスク、そして米国の複数の州がビットコインを戦略的な準備資産として承認したことなど、複数の要因が重なった結果」と分析している。
市場心理の改善を受け、XRPなどアルトコイン市場にも資金が再流入し始めており、先週はL1ブロックチェーンSuiを基盤とした投資商品の成長が顕著だった。Suiベースの製品は先週1,170万ドルの資金を集め、主要アルトコインを上回る伸びを示した。さらに、年初来の流入額ではすでにソラナ(SOL)を上回っている。
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