欧州中央銀行(ECB)総裁のクリスティーヌ・ラガルド氏が、仮想通貨取引所バイナンスによるMiCAライセンス取得を個人的に阻止していたことが、17日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道で明らかになった。同紙によると、ラガルド氏はデジタルユーロ計画の保護とドル建てステーブルコインの欧州での台頭への警戒から、ギリシャの規制当局に働きかけていたという。
バイナンスは5月末、ギリシャの規制当局を通じたEU統一免許(MiCA)の取得を目前としており、リチャード・テンCEOがアテネでの発表イベントへの出席を計画していたという。
だが、ギリシャの規制当局は6月上旬、免許承認の方針をESMAの委員会に伝えたが、その翌日にはラガルド氏がミツォタキス首相に承認しないよう要請していたことが、バイナンス側に伝えられたとされる。
MiCAの下でライセンス審査を担うのは加盟国の規制当局であり、ECBに公式な認可権限はない。ただ、ラガルド氏は気候変動や政治問題など金融政策以外の分野にも度々関与してきており、バイナンス排除の動きもその一環とみられる。
免許取得に向けては、バイナンスが前年から現地法人「バイナリー・グリース」を通じて申請を進め、2億ユーロ相当の税収と100人分の地元雇用を見込んでいたという。しかし、規制当局は1週間後、「見解の一致が得られない」として難色を示し、バイナンスは正式な却下決定が下る前の6月中旬に自ら申請を取り下げた。
一方で、バイナンスはEU域内の一部顧客への対応をアブダビ拠点の法人経由で続けていると報じられており、別の加盟国での免許再取得を目指している模様だ。