ナスダックは10日、仮想通貨取引所クラーケンの親会社ペイワードとの関係拡大を発表した。発表には、ナスダック・ベンチャーズによる1億ドル(154億円相当)の出資契約や、トークン化株式構想の推進、新たな市場監視協定の締結を盛り込んだ。
ナスダック・ベンチャーズは同社の戦略的投資部門で、資本市場インフラを支える技術に投資している。今回の提携は社内の市場事業部門「デジタル・リクイディティ・ネットワークス(DLN)」が主導し、株式をトークン化する「ナスダック・エクイティ・トークン(NET)」構想を2027年4〜6月の始動目標で進めている。
ナスダック社長のタル・コーエン氏は、資本と資産が金融システム全体でより効率的かつシームレスに移動する体制が次の市場進化を左右すると述べた。同氏は、今回の提携がナスダック・エクイティ・トークンの取り組みを前進させ、信頼性と透明性を保ったまま金融システムの連携強化につながるとの見方を示した。
提携の次段階では、従来の清算システムが抱える負荷を踏まえた議論が交わされた。ペイワード共同CEOのアルジュン・セティ氏は、米国の清算システムでは日次2兆ドル超の株式取引が行われ、相殺後も清算機関が100億〜200億ドルの担保を保有していると指摘した。
ペイワードは、仮想通貨・株式・トークン化株式・先物・オプションを含む取引基盤全体に、ナスダックの市場監視技術を導入する予定だ。
また、米ブルームバーグの報道によると、今回の出資によりペイワードの企業価値は210億ドルと評価されている。同社は3月に発表した提携を、今回の出資で拡大する形だ。同社を通じ、クラーケンの利用者は通常株式と同様の議決権を持つナスダック上場企業のトークン化株式を保有できるようになる見通しだ。
ペイワードは今月1日、英ロンドン証券取引所との提携により、上場企業時価総額上位100社の株式をトークン化商品「エックスストックス(xStocks)」として取引可能にすると発表した。エックスストックスの累計取引高はローンチから1年余りで400億ドル超に達し、保有者数は20万人を超えている。