オンチェーン分析企業Glassnodeが9日に公開した最新の週次レポートによると、ビットコイン( BTC )は下値サポートを固めつつ、三つの指標がそろって同じ「天井」を示している。長期保有者の取得原価、先物市場の清算マップ(強制決済が集中する価格帯を示したチャート)、そして米国の現物ビットコインETFの損益分岐点という複数の指標が、いずれも上値抵抗として同じ価格帯示しており、まだ試されていないレンジ相場を形成しているという。
Glassnodeが特に注目するのは8万3,000〜8万6,000ドルの価格帯だ。この水準では約107万BTCが取得されており、その大半が長期保有者(LTH)によるものだった。なかでも85,000ドル付近の出来高が最も厚く、このゾーンで買われたコインは過去30日間ほとんど動いていない。
ビットコインは、9月3日の高値で8万3,000〜8万6,000ドルの価格帯に迫ったものの届かず、約1.5%下で失速。以降は8万ドル付近の狭いレンジで推移している。
一方、7万6,000~8万2,000ドルで取得された供給量は増えており、最近の買い手による新たな下値サポートが形成されつつある。対照的に、6万2,000~6万5,000ドル付近の買い集めによる下値サポートは薄くなってきた。
デリバティブ市場でも、同じ価格帯が上値の壁として立ちはだかる。BTC先物の清算ヒートマップでは、8万2,000~8万6,000ドルにショートポジションの清算水準が集中しており、その規模は8月19日のショートスクイーズ以降、21%増加した。
ヒートマップ全体の清算規模は3分の1減少するなか、この水準に集中度が強まっている形だ。そのため、8万6,000ドルを明確に上抜ければ、積み上がったショートの清算とそれに伴う買い戻しで上昇が一段と加速する可能性がある。
下値側では6万~6万3,000ドル付近にロングポジションの清算クラスターが残る。特に6万3,000ドルを割り込むと、ロングの清算を通じて下落圧力が強まるリスクがある。
米国の現物ビットコインETFについても、ローンチ以降に取得されたビットコインの損益分岐点は約8万6,000ドルとGlassnodeは試算する。米国の現物ビットコインETF全体では、約8万6,000ドルを下回る状態が228セッション連続で続いている。ただし価格の回復にとともに、含み損は2026年2月5日の約180億ドルから約39億ドルまで縮小しており、ETF全体が損益分岐点に迫るのは今年1月以来とのことだ。
企業の財務資産(トレジャリー)として保有されるビットコインの損益分岐点は約80,500ドルで、現在の価格をわずかに下回る水準にある。8万6,000ドルを回復すれば、最大規模の機関投資家群が今年初めて含み益に転じることになる。
今回の上昇局面で最も特徴的なのは、上値抵抗帯に近づいているにもかかわらず、売り圧力がほとんど強まっていない点だとGlassnodeは指摘する。
売り手側リスク比率(Sell-Side Risk Ratio)は7日間ベースで1日当たり7bp(0.07%)まで低下し、8月のピーク時(16bp)の半分以下となった。2025年7月(35bp)や同年10月(23bp)といった過去の高値局面と比べても、極めて低い水準にとどまっている。
市場全体の実現利益に占める長期保有者の割合も、8月ピーク時の88%から47%まで低下した。現在利益確定を進めているのは主に短期保有者(直近の購入者)に限られており、その売却量自体も減少している。
Glassnodeは「現物市場には、現在の価格帯で十分な売り手が存在していない」とみている。
アルトコインの時価総額は過去1カ月で21%増加したが、ビットコインに対する市場シェアは拡大していない。過去にビットコインが天井をつけた4回のサイクルのうち3回では、直前90日間にアルトコインのシェアが急上昇し、上昇幅は最小でも2.8ポイントに達していた。しかし、現在は0.9ポイント低下している。
Glassnodeによれば、アルトコイン価格自体は上がっているものの、過去の成熟した相場の天井で見られたような「ビットコインからよりリスクの高い銘柄へ資金が一気に移る動き」にはまだ至っていないという。
レポートは現在の相場環境について、下値サポートが強固になる一方で、上値はまだ本格的に試されていないレンジ相場にあると総括している。
関連: ビットコイン(BTC)の今後・将来性【2026年6月】有識者7名の価格予測と2030年シナリオ