米コロンビア特別区連邦検事局は9日、省庁横断タスクフォースが中国系の違法市場「Xinbi Guarantee(シンビ・ギャランティー)」を摘発し、5,280万ドル(約80億円)相当のUSDTを凍結したと発表した。
全部で49の暗号資産(仮想通貨)ウォレットが凍結された。これらはすべて、米ドル連動型ステーブルコインUSDTを保管していたものだ。そのうち2つのウォレット(合計約1,200万ドル相当)は、司法省の令状に基づき、完全に押収された。残りのウォレットについては、今後の措置が決定されるまで凍結状態が維持される。
差し押さえ令状によると、シンビはメッセージアプリのテレグラム上で運営されている違法市場であり、違法事業者が詐欺拠点の運営者に対してサービスを売り込む場となっていた。
例えば、そこで各業者が提供を宣伝していたサービスには、詐欺的投資用ウェブサイトの作成、詐欺の被害者から得た資金の洗浄、東南アジアの詐欺拠点で働かせるための人身売買被害者の勧誘などが含まれている。
シンビは、詐欺師がベンダーからサービスを購入する際に、ベンダーが確実にサービスを履行することを詐欺師に保証するため、サービス完了までベンダーへの支払代金を一時的に預かるという役目も果たしていた。
米財務省外国資産管理局(OFAC)も9日、シンビを麻薬カルテルと同じ分類である「重大な国際犯罪組織」に指定し、関連する多数の仮想通貨ウォレットを特定。さらに、シンビの運営を支援したとして、シンガポール拠点のSafeWTechnologyおよびカンボジア拠点のAnwen Technologyの2社を制裁対象に加えている。
近年は、特に東南アジアを拠点とする「豚の解体詐欺」が問題となっているところだ。これは、オンラインで偽の恋愛関係や友情を築き、被害者を説得して、偽の投資アプリに資金を送金させるという手口が一般的である。
今回、シンビを摘発した省庁横断の「スキャム(詐欺)センター・ストライクフォース」は、昨年11月に立ち上げられ、今回の件も含めてこれまでに総額約9億3,800万ドル(約1,440億円)の不正資金を凍結してきた。なお、今回の捜査にはブロックチェーン分析企業Ellipticも協力している。
今回の法執行の一環としてテザー社の協力によりUSDTが凍結された。シンビはテレグラム上で凍結は「恣意的」であると非難する声明を発表し、顧客への補償を行うと表明している。「大量のUSDTのロック解除とコンプライアンス確保の手続きは、想定していたよりもはるかに困難かつ長期化」しているとも報告した。
また、USDTの利用を停止し、別のステーブルコインであるUSDDへ移行するとしている。USDD(Decentralized USD)は、仮想通貨トロンの創設者であるジャスティン・サン氏が2022年に立ち上げた、米ドル連動型ステーブルコインだ。
テザー社のUSDTは同社によるウォレット凍結機能が存在するが、USDDは「分散型」とされており中央発行体や凍結機能が存在しない。一方、USDDの一部はUSDTを担保としているため、依然として該当分は凍結される可能性がある。