Progmatは31日、ケネディクス、KDX STパートナーズ、Datachainの3社と共同で、パブリックブロックチェーンとステーブルコインを使った不動産デジタル証券(セキュリティトークン、ST)の新しい取引スキームに取り組むと発表した。
商用化に向けた段階的な実証の第一段階として、STとステーブルコインをオンチェーンで同時に受け渡すDvP決済の検証を完了している。
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これまでの不動産STは、証券会社に口座を持つ個人投資家が売買する形が中心だった。今回検証したのは、発行体と投資家がそれぞれウォレットを持ち、STの受け渡しと代金の支払いを直接、同時に済ませる形だ。
DvP(Delivery versus Payment)と呼ばれる方式で、どちらか片方だけが実行され、もう一方が履行されない事故を防ぐ。仲介する証券会社を挟まないぶん、取引の手順も短くなる。
図の左側が今回完了した第一段階にあたる。発行体が原資産を裏付けにSTを発行し、投資家はステーブルコインで払込を行う。分配金や償還金もステーブルコインで戻る。なお今回の検証では、KDX STパートナーズがアセットマネージャーを務める検証用の仮想ファンドを発行体とし、ウォレットアプリの動作確認には検証用トークンを用いた。
右側は次の段階を検討しているもので、投資家が保有するSTを担保に、資金供給者からステーブルコインを借り入れる取引を想定する。
検証は事業法人など特定投資家向けの私募を想定して実施した。STはProgmatのデジタルアセット発行・管理基盤を介してアバランチのC-Chain(誰でも利用できる共用チェーン)上に発行し、金商法上の電子記録移転権利のうち開示規制などの扱いが異なる「適用除外電子記録移転権利」に該当する設計としている。
決済に使うステーブルコインは、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が想定する信託型の規格を用い、アバランチL1上に発行した。円建てなど法定通貨の価値に連動し、額面同額での償還が約束されるものは、資金決済法上の電子決済手段にあたる。
STとステーブルコインが別々のチェーン上にあるため、両者はクロスチェーンの同時決済ソリューションで接続する。投資家が両方を扱うウォレットアプリはプロトタイプを用意し、想定した一連のプロセスがすべて問題なく実行できたという。
アバランチ系のチェーンが使われる背景には、Progmatの基盤刷新があるとみられる。同社は7月13日、既存の全ST案件をアバランチL1へ移行し終えたと発表していた。対象は総額4,520億円超で、分散型台帳「Corda 5」からEVM互換環境へ切り替えたことにより、権利移転の処理速度は移行前比約3〜5倍になったとしている。
次の段階では、投資家が保有する不動産STを担保に資金を借り入れるユースケースを検証する方向で検討している。海外では仮想通貨の分野で、スマートコントラクトを使った24時間365日の担保借入が先行してきた。その仕組みを国債や投資信託を含むRWA(実物資産)へ広げる動きも進む。
借入をファンド段階ではなく投資家段階で行えるようになれば、発行体側はフルエクイティ型(ファンドが借入を使わず、出資だけで資産を保有する形)や無期運用型(償還期限を設けずに運用を続ける形)など、裏付け資産の現物に近いSTを組成しやすくなる可能性がある。
対象資産も不動産に限らず、航空機や船舶といった動産への広がりを視野に入れる。4社は次段階を実施した場合、その結果も踏まえて商用化に向けた判断を2026年内に行う予定だ。