暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所のBitMEXは23日、取引所サービスを9月23日午前4時(UTC)に閉鎖すると発表した。同時に新規のアカウント登録も即時停止した。運営会社HDR Global Trading Limitedの取締役会が、事業と業界全体の戦略的見直しを経て閉鎖を決定したという。
BitMEXは2014年、アーサー・ヘイズ氏ら3名によって創業された。現在の仮想通貨業界で最も取引量の多い商品となった無期限契約(パーペチュアル・スワップ)に、最大100倍のレバレッジを組み込んだ商品を最初に開発した取引所として知られる。
同社は11年超の運営期間中、ハッキングによる資金流出が一件もなかったと説明している。なお、ヘイズ氏は2020年にCEOを退任しており、今回の閉鎖判断への関与は発表内容には示されていない。
BitMEXは閉鎖時刻(Closure Time)までは通常どおりサービスを提供するとしているが、8月26日午前4時(UTC)以降はリスク上限を導入し、ユーザーが新規ポジションを持つことを制限する。
この時点からはポジションの縮小のみが可能になる。同社はこの期間、市場の秩序ある縮小を確保するため既存の未決済ポジションを強制決済する方針を示した。閉鎖時刻に残っている未決済ポジションはすべて即時に強制決済されるという。
あわせて、プラットフォーム上でステーキングされていたBMEXトークンはすべてアンステーク済みで、保有者のアカウントに即時反映されているとしている。
閉鎖時刻以降もユーザーはアカウントにログインしてウォレット残高や取引履歴を確認し、資金を撤退することが可能。取引所としての機能は閉鎖時刻をもって終了する一方、資産の保管・撤退対応は継続する形だ。
本人確認(KYC)を完了したユーザーが閉鎖時刻までに資産を撤退しなかった場合、残高に対して月額50ドル相当または年率1%(いずれか大きい方)の手数料を課すとしている。
BitMEXは、この手数料は今後段階的に引き上げられる可能性があり、事前に通知するとした。撤退が完了していないユーザーへは継続的に連絡を行う方針も示している。
なお、ビットコイン等一部のブロックチェーンではブロック確認に最長で1時間程度を要する場合があり、撤退処理に遅延が生じる可能性があるとも説明している。同社は資産が負債を上回っている状況を、独自の資産・負債証明(Proof of Reserves and Liabilities)ページで示しているという。
BitMEXは、閉鎖に関する報道を悪用したフィッシング詐欺への警戒を呼びかけている。優先撤退や撤退の迅速化を持ちかけるような連絡はすべて詐欺であり、そうしたサービスは提供していないと強調した。
同社は今後、すべての撤退申請に対する審査手続きを強化するとしており、資産の種類によっては撤退時にネットワーク上の制限が課される場合があるとしている。