フランス国民議会は10月30日、暗号資産(仮想通貨)を出国税の対象に追加する2つの予算案修正案を否決した。さらに11月3日には修正案の審議が終わらなかったことにより、2027年度予算案の歳入部分の採決を延期している。
議員らはまず、修正案I-3904号を賛成27、反対55で否決した。この案は、フランスで過去10年間のうち少なくとも6年間居住者であった納税者が海外へ移転する際、保有する仮想通貨も出国税の課税対象に新たに含めるという内容だった。
フランスでは80万ユーロ(約1.4億円)以上の株式・有価証券を保有している場合などに出国税の対象となる。修正案は、この基準額を確認する際に、有価証券に加えて仮想通貨も合算しようとするものだった。
反対者は、仮想通貨のボラティリティ(価格変動)の大きさを考慮すると、既存の出国税の仕組みをそのまま適用するのは不公平になりかねないと主張している。
また、代替案として提出された修正案I-3432号も否決された。これは仮想通貨の保有分に対して個別に80万ユーロの基準額を設け、対象となる居住者がフランスから出国する際に、未実現利益(含み益)に対して課税を行うというものである。
こちらは賛成31票、反対60票で否決された。この結果は課税範囲を拡大しようとする委員会段階での動きを覆すものとなった。
一方で、フランス国民議会は10月16日に、ステーブルコイン課税に関する2027年予算法案の修正案3898号は賛成38、反対37、棄権25の僅差で可決している。これは、仮想通貨を特定のステーブルコイン(MiCA規則上の電子マネートークン)へ交換する場合のキャピタルゲイン課税繰り延べ措置を廃止するものだ。
今後も法案全体の審議・採決や上院での審議が控えているためにまだ成立したわけではないが、もし仮に施行される場合は2027年1月1日以降の取引から適用となる。
その他に、予算案の修正案では年間1,000ユーロ(約18万円)までの仮想通貨による支払いを非課税とするものも審議されている。現行制度では、ビットコイン( BTC )でコーヒーを購入するような日常的な少額決済も、課税対象となる「資産の処分」とみなされるためだ。
また、取引所などサービスプロバイダーの外部で保有する仮想通貨の価値が12月31日時点で10万ユーロ(約1,800万円)以上に達する場合、その申告を義務付けるとする修正案も提案されており、これから審議される見込みだ。


