財務省理財局は8日、「国債のオンチェーン対応に関する研究会」の初会合を開いた。事務局の説明資料は、国内で進む国債のオンチェーン対応を3つの類型に整理した。振替決済制度の外のブロックチェーン上で、新しい形態の国債を発行する類型も含む。
研究会は9月30日に設置が発表され、日本銀行と金融庁も意見交換に加わる。内閣官房が7月21日にまとめた「成長投資を促進するための金融戦略」は、財務省が国債等のトークン化対応と、元利払いを投資家のニーズに応じてオンチェーンで決済可能とすることの検討を進めると明記した。
資料はトークン化について、「資産や資金をブロックチェーン(・分散型台帳)の上で流通可能な形態に変換する」という意味で用いられることが多いと説明する。研究会では、購入や保有から利金の支払いまでの一連のプロセスをブロックチェーンで効率化する取り組みに加え、システム改修や業務フローの変更までを含めて「オンチェーン対応」と呼ぶ。
類型1は、国債等で運用する投資信託(MMF)の受益権をオンチェーンで授受する形だ。国債そのものには手を加えない。対極にあるのが類型3で、現行の振替決済制度の外のブロックチェーン上に新形態の国債を発行する。
中間に位置する類型2は、現行の振替決済制度を前提に振替口座簿をオンチェーン対応させる。対応範囲によって3段階に分かれ、単一の口座管理機関で完結するのが2-A、複数の口座管理機関をつないで連携するのが2-B。振替機関である日銀の振替口座簿まで対象にするのが2-Cとなる。
現行制度では、国債の権利は振替口座簿への記録と書換で移転し、決済は約定の翌営業日(T+1)に行われる。日銀ネットの国債系と当預系を連動させ、国債と資金の同時受け渡し(DVP)を実現している。3類型はヒアリングで聞かれた事例を分類したもので、資料は「議論のマッピングのための暫定的な整理」と位置付けた。
海外の民間事例として、資料はブラックロックが2024年3月から機関投資家向けに提供するオンチェーンMMF「BUIDL」を挙げた。運用残高は約23億ドル(5月12日時点)と記載している。DTCCとDigital Assetが2025年12月に発表した、DTCが保管する米国債をCanton Network上でオンチェーン化する提携も紹介した。
公的主体では、英国が2024年からデジタル英国債(DIGIT)の発行に向けたパイロットプログラムを進める。スロベニアも同年、デジタル国債を発行する実証実験を行った。
市場参加者のメリットとしては、担保と流動性管理の効率化(特に海外投資家)と、オンチェーンで待機する資金の安定運用先になる点を挙げた。政策面では国債の安定消化や国債市場の国際競争力の維持につながるとみる。
想定される影響として、市場の分断で必要な流動性の総量が増える可能性や、24時間365日取引が実現した場合に価格急変の伝播が抑えられにくくなる点を示した。制度・システム・業務面の課題やコストも挙げた。資料はこれらを「議論の出発点として暫定的に整理したもの」とし、研究会での議論や事業者へのヒアリングで補足する。
