レイヤー1ブロックチェーンのアプトス(APT)は6日、スマートコントラクトの実行エンジンを刷新するアップグレード案「MonoMove」を発表した。社内テストでは現行比最大55倍の高速化を確認したという。2026年末までに機能開発が完了する見込みだ。ガバナンス投票を経て、2027年にはメインネットへの導入が計画されている。
MonoMoveは、Move VM(プログラミング言語Moveで書かれたスマートコントラクトを実際に動かす仮想マシン)とその周辺の実行スタックをアップグレードするものだ。
アプトスによると、メインネットにおける取引(アプトス・ラボが育成したオンチェーン取引所「Decibel」における実取引)をリプレイしたところ、現在のVMよりもはるかに高速に処理が行われた。
例えば、担保の引き出しは最大55倍、無期限先物(Perp)市場へのリクエストは最大38倍、注文の発注は最大22倍だ。こうしたスピード向上は、処理の全工程にわたって反映される。
個別の取引だけでなく、システム全体の処理能力も向上する。一連のトランザクションを処理するエンドツーエンドのスループット(取引が入ってから処理が完了するまでの全工程を通して、一定時間にどれだけの取引を処理できるか)は、社内ベンチマークで最大11倍に改善した。
また、今回の数値はまだMonoMoveの最適化もBlock-STM(並列実行の仕組み)の適用も行っていない状態のもので、改善の余地が残るとしている。
アプトスは、現在のボトルネックは実行処理そのものではなく、実行とストレージ層の間に移っており、これはスマートコントラクトの実行エンジン自体がそれだけ進化した証拠だという。
アプトス・ラボのエイヴリー・チン共同創設者兼CEOは、「金融機関は処理能力が追いつかないインフラ上で市場を構築することはなく、信頼できないインフラに顧客の資産を預けることもない」と述べた。MonoMoveはこの二つの課題を解決するように設計されているとしている。
MonoMoveは機関投資家や金融サービス企業による利用を見据えたエンジンレベルのセキュリティ保護機能も追加する予定だ。
MonoMoveは、プログラミング言語「Move」に組み込まれた仮想通貨の発行、複製、転送を制御するルールを維持。資産の二重使用や不正発行が起こりにくいとされる。
さらに、検証機能や仮想マシンにバグが発生した場合でも資産を保護できるよう、実行時のチェック機能も追加される。アプトスは、これにより、アプリケーション層の安全策だけに頼るのではなく、エンジンレベルで特定の種類の障害を排除することが可能になると述べた。
チン氏は、「MonoMoveは、ブロックチェーン界で最も強固なセキュリティモデルを基盤としつつ、私たちがこれまでに測定した中で最速のスマートコントラクト実行を実現するだろう」とコメントした。まさに「機関投資家向けの金融に求められるインフラ」を開発しているところだとも続けている。
アプトス・ラボは今後の展望について、広範なテストやファジング(プログラムに予期せぬ入力を与えて脆弱性を探る手法)などを通じて、エンジンの検証を継続していくと述べた。
また、導入に先立ってソフトウェアが正しく動作することを数学的に証明する手法「形式検証」を重要なコンポーネント(構成要素)に適用する計画もある。
