米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは14日、同社のトークン化株式は、新たなスタンダードを確立したと表明した。
合成金融商品や債務証券ではなく、原資産となる株式によって完全に裏付けられた証券であると述べる。また、配当も組み込まれており、今後は議決権の付与も予定されていると続けた。
現在この商品は米国外の適格投資家向けに提供されているが、将来は米国でも提供できるようにしたいとも話している。
コインベースは8月に、自社のブロックチェーン「ベース(Base)」上でトークン化株式サービスを立ち上げている。アラブ首長国連邦(UAE)内の国際金融フリーゾーン「アブダビ・グローバル・マーケット」で設立した特別目的会社「Coinbase Onchain SPV Ltd.」が証券を発行する形だ。
また、米証券取引委員会(SEC)登録ブローカーのAlpaca Securitiesが原資産株式を分離口座で購入・保管している。各トークンは、この信託財産全体に対する持分比率への直接的な受益権を表す。
この構造では、機関投資家型マーケットメーカーである「指定参加者」がトークンの裏付けとなる原株式を購入したうえで、それが分離型カストディ口座に移されるという、ETF(上場投資信託)などに似た「創出・償還」モデルが用いられている。
本人確認を完了したトークン化株式保有者は、株式・米ドル・USDCの形で償還が可能だ。なお配当は自動的に再投資され、原則として現金では支払われない。株式を選択した場合は、ブローカー口座を通じた実株保有への転換という形になる。
ただし、ギャラクシーリサーチはコインベースの商品について、原資産企業(アップルなど)自体が正式に認可・関与したものではなく、保有者の法的な権利関係は、コインベースが設立したオフショアの特別目的会社との間でのみ生じる点を指摘している。
アームストロングCEOは特に言及していないものの、今回の発言は競合の大手投資アプリ「ロビンフッド」との対比を念頭に置いたものとみられる。
ロビンフッドは、昨年に欧州で「クラシック・ストック・トークンズ」を立ち上げているが、これはコインベースとはまったく異なる法的枠組みを用いるものだ。同社のトークン化株式は実株の保有権ではなく、デリバティブ(株価連動契約)として提供されている。
原資産となる株式自体はロビンフッドが所有し米国のライセンス機関に保管されているものであり、商品の裏付けは現物の株式だ。ただし、ユーザーが購入するのはロビンフッドとの間の契約となる。
ロビンフッドの契約型トークンは、配当が出ても現金では支払われない。配当分でさらに株式を買い増し、トークン1枚あたりが裏付けとする株式の取り分(オンチェーン上の倍率)を自動的に増やす仕組みだ。ただし、現在のところ原資産企業に対する議決権は一切発生せず、償還も現金決済のみとなっている。
ただし、ヴラド・テネフCEOは15日、現物償還や議決権付与もまもなく可能となる予定だと発言しており、今後の動きが注目される。いずれにせよ、ロビンフッドとコインベースの仕組みの違いは「トークン化株式」という言葉が指す実態の幅広さを浮き彫りにするものだ。

