アナリストのアクセル・アドラー氏(Axel Adler Jr.)氏は16日、ビットコイン( BTC )の需給動向を分析する有料レター「Weekly Engine」最新号で、オンチェーン指標「UTXO Profit比率」が直近1カ月で48%から53%まで回復したと明らかにした。
同氏によると、53%という水準は過去365日平均を依然として下回る。含み益を抱えるUTXOの比率は増えたものの、市場全体の半数近くがなお含み損の状態にあり、深刻なストレス圏を抜け出したとは言えないとしている。
UTXO Profit比率とは、未使用のビットコイン取引出力(UTXO)のうち、最後に取引された時点よりも現在の価格が高い状態にあるものの割合を示す指標。数値が高いほど、保有者全体の含み益が大きいことを意味する。
アドラー氏は、この比率上昇が新規需要の流入を裏付けるものではないとも強調した。UTXO Profit比率は、価格がコインの最終移動時点の水準を上回るだけでも上昇するためだ。48%から53%への変化は保有者への売り圧力が和らいだことを示す一方、需要局面が転換したと確認するには材料が足りないという。
分析をさらに複雑にしているのが、ハードウェアウォレット「Coldcard」を巡るハッキング被害だ。TRM Labsなどの集計によると、Coinkite製Coldcardの旧ファームウェアの脆弱性を突いた攻撃により、7月30日以降に1億ドルを超えるBTCが流出した。
アドラー氏によれば、この事件を境にロング・ターム・ホルダー(LTH、長期保有者)の供給量は134.8千BTC減少した。ただし同氏は、古いコインが動いたことで機械的に「長期保有」の集計対象から外れた影響が大きく、長期保有者による売却や分配と単純に解釈すべきではないと注記している。
この回復と供給構造の変化を並べて見ると、現時点のデータは新規需要の裏付けよりも、大規模インシデント後の供給再編を示す方が近いとアドラー氏はみている。

