米大手銀行ウェルズ・ファーゴは4日、法人・商業顧客向けにトークン化預金を導入すると発表した。ブロックチェーンを活用した銀行預金のデジタル表現により、資金の移動・プログラム設定・決済を24時間365日行えるようにする。
トークン化預金とは、銀行が預かる資金をブロックチェーン上でデジタル化した仕組みだ。預金保険や規制上の保護を維持したまま、資金の移動や条件付き決済をリアルタイムで実行できるようにするものだという。
新サービスは今秋、米ドルと英ポンドの限定的な両替に対応する形で始まる予定で、同行は2027年にかけて、対象となる顧客・国・通貨を順次拡大する方針だ。
同行の最高財務責任者を務めるマイク・サントマッシモ氏は、トークン化預金により法人・商業顧客が口座間や国境を越えた資金移動をより簡便かつ迅速に行えるようになり、既存の銀行インフラの強みを土台にしたものだと述べた。
新サービスでは、口座や子会社、取引先間の資金移動を土曜・日曜や祝日を含め24時間実行できる。あらかじめ設定した条件に基づいて資金を放出するスマートコントラクトを用いた条件付き決済にも対応するという。
また、トークン化預金は、既存の預金商品と同等の規制上の保護と預金保険の対象資格を維持するという。ウェルズ・ファーゴは自社の独自ブロックチェーン基盤を活用し、社内カストディ型ウォレットや異なるブロックチェーン間の接続技術を将来的に組み込む計画だ。
銀行によるトークン化預金の導入は他の大手銀行でも先行している。JPモルガン・チェースは決済基盤「キネクシス」を通じ、機関投資家向けの資金移動サービスを長期にわたり提供してきた。2025年11月には米ドル建てのデジタル預金トークン「JPMD」を、コインベースの公開ブロックチェーン「ベース」上で機関投資家向けに開始している。
米大手信託銀行BNYは2026年1月、取引所運営大手ICEや証券会社シタデル・セキュリティーズなどの機関投資家向けにトークン化預金サービスを開始した。英金融大手HSBCも香港・シンガポール・英国・ルクセンブルクで同種のサービスを提供しているほか、米シティも複数の国・地域で機関投資家向けに同様のサービスを稼働させている。
また、JPモルガン・チェースやシティ、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴなど大手銀行20行前後は2026年6月、業界団体ザ・クリアリング・ハウスが運営する共通のトークン化預金網の構築を発表している。既存の決済網と連動した企業間決済の実現を目指し、2027年上半期の稼働を予定しているという。