オンチェーン分析企業グラスノードは29日、暗号資産(仮想通貨)市場の週間レポートを発表。現物取引高はビットコイン枚数ベースで2019年以来の低水準にあり、取引所への資金流入や流出も不活発で、オーダーブックの売り板も薄くなっていると指摘した。
特に、米国債の利回りが仮想通貨のキャリートレードを上回っており、このために新たな買い手となり得る層が、仮想通貨を購入せずにキャッシュ(現金)を手元に置いて待機していると分析する。
仮想通貨のキャリートレードとは、例えばビットコイン(BTC)を現物で買い、同時に同じ量のビットコイン先物を売ることで、その差額から利益を得る方法だ。先物価格は現物より高く設定されていることが多いため、満期時にその差額を得られる仕組みである。
グラスノードは、こうした取引は仮想通貨市場への機関投資家の参加を支えているが、仮想通貨の3か月先物ベーシス(現物との価格差)は、2月以来、2年物米国債の利回りを下回っていると指摘した。このことが現在、機関投資家の資金が仮想通貨市場から離れている理由になっていると述べる。
次にグラスノードは、ビットコインの現物価格は、最もその価格で取得した投資家が多い価格帯である、約6万2,000ドルから6万8,000ドルの範囲内で取引されていると続けた。
この集積帯は、ほぼ均等に二分されている。半分は今年の下落局面で買いを入れた短期保有者、もう半分は下落に耐え抜いた長期保有者のものだ。長期保有者については、価格の下支えとして機能する傾向があり、短期保有者は市場の動きに対してより敏感に反応する性質がある。
このため、グラスノードは6万9,000ドル付近にある短期保有者の取得単価が次の相場展開を左右する重要なラインになっていると述べた。
取引所への入金と出金は共に減少している。過去3年間で最も静かな水準にあり、2023年から2025年の標準的な水準を大きく下回っている。取引所内の保有残高も4月の安値から緩やかに増加した後、7月上旬以降は横ばいで推移している。
グラスノードは、この状況は資産の売り抜けや買い集めというよりは、市場の「無関心」を示唆していると見解を示した。こうしたパターンは、弱気相場の中盤における静かな局面でしばしば見られるものだとも続ける。
また、現物ETF(上場投資信託)への資金流入は7月中旬に一時プラス転換したが、すぐにマイナスに逆戻りした。ただし6月〜7月初旬の大規模な資金流出に比べれば規模は小さく、こちらも資金フローが停滞傾向だ。
オプション市場では、インプライド・ボラティリティ(予想価格変動率)のカーブ全体がレンジの下限付近に達しており、特に6か月物についてはほとんど過去最低水準にある。オプション・トレーダーは今後半年間が静かな相場になると予想している形だ。
グラスノードは金融政策の変化をきっかけにビットコインが出来高を伴って6万9,000ドルの短期保有者取得単価を奪回し、ETFへの資金流入が買い越しに転じれば、市場改善のシグナルになり得ると指摘した。一方で価格が6万2,000ドルから6万8,000ドルを下抜けし、取引所への売却を前提とした入金も増えれば、この見方は無効になると述べる。
