スタークウェアのベン=サッソンCEOは8日、量子コンピュータの脅威に備え、イーサリアムのレイヤー2(L2)であるスタークネット(Starknet)が独自のレイヤー1(L1)に転換する案を含む複数の選択肢を検討していると、Xで明らかにした。スタークネットのトークンSTRKは今週約70%上昇したが、過去最高値からは98.4%下落した水準にとどまる。
背景には、スタークネットがL2としてイーサリアムからセキュリティを引き継ぐため、自らの移行を急いでもイーサリアムが量子耐性を備えるまで完全な量子耐性に到達できない事情がある。ベン=サッソンCEOは、イーサリアムが量子コンピュータとAIの双方に対して安全になる必要があり、それを早急に実現しなければならないと語った。
そこで選択肢に挙がったのが、L1化だ。ベン=サッソンCEOは、量子時代に備える条件として適切な暗号、必要に応じて暗号方式を切り替える俊敏性(クリプト・アジリティ)、L1としての地位の3つを挙げた。
同CEOは、L1になればイーサリアムやビットコインの移行を待たずにセキュリティ移行を自ら管理できる点が利点だと説明した。また、イーサリアムが2029年末までにL1の完全な量子耐性を目指す一方、ビットコインにはそうした公約がないと指摘し、スタークネットは2027年までに到達できる可能性があるとの見方を示した。
スタークウェアの量子対策では、ビットコイン向けに研究者のアヴィフ・レヴィ氏が4月に発表した「量子耐性ビットコイン(QSB)」の最初のアウトプットが8月26日、ブロック964,199で使用された。楕円曲線暗号の秘密鍵ではなく大量のハッシュ計算でコインを守る仕組みで、GPU計算の費用は数百ドルで、ソフトフォークや新たなオペコードは不要だった。
ただし、費用は初回の使用以降に約320ドルから約50ドルへ下がったものの、ビットコインの通常の処理量で運用すれば1日数千万ドルの計算費用がかかり、すでに公開鍵が露出したコインの保護にも使えないという。スタークウェアは根本策はソフトフォークだとの立場を維持しており、レヴィ氏も最後の手段であり量子耐性ビットコインへの道筋ではないと説明した。
一方、スタークウェアは6月、スタークネットの量子移行ロードマップを3段階で公表した。内訳は、ペダーセンハッシュのBLAKE2への置き換えを含む基盤暗号、既存コントラクトの移行ツール、ブリッジなどイーサリアム連携部分の3つで、現在も移行を進めている。