ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)は5日、東アジア地域の暗号資産(仮想通貨)普及度についてのレポートを発表した。2025年7月から2026年6月までの期間において、同地域の仮想通貨経済規模で韓国がリードしており、日本がそれに続いたと報告している。
チェイナリシスは、中央集権型取引所への流入額、機関投資家向けサービス、分散型金融(DeFi)、個人間直接取引(P2P)などによる推定取引額から、各国の市場規模を推算している。
韓国の市場規模は4,491億ドル(約71兆円)で前年比12.3%増に達した。この急速な市場拡大を牽引しているのは大手金融機関ではなく、主に個人投資家(リテール)による活発な取引活動だ。
韓国のリテール市場では高リスク・高リターンの投資が好まれる傾向が強く、特にAI(人工知能)関連銘柄の取引が人気を博している。ウォン建て取引においてAIトークンは主要な投資カテゴリーとなり、ワールドコイン(WLD)などの銘柄を中心にして、他国通貨建ての割合を大幅に上回る取引量を記録した。日本円建て取引の19.5倍にあたる。
韓国市場の旺盛なリテール需要を支えてきた要因の一つに、仮想通貨売却利益への非課税措置がある。22%の課税は再三導入が延期されているが、2027年からの開始が予定されているところだ。
一方で、企業による仮想通貨投資は本格化していない。チェイナリシスは、2027年に予定通りに課税が開始されて個人投資家の活動が抑制され、同時に企業の市場アクセスが拡大すれば、韓国市場は変化する可能性もあると見解を述べた。
日本の仮想通貨市場規模は2,283億ドル(約36兆円)で、東アジア第2位だった。日本の特徴としては、分散型取引所(DEX)の利用比率の高さがあげられている。
仮想通貨サービス利用におけるDEXのシェアは約35%と地域最高水準であり、中央集権型取引所からの出金者の約4人に1人がDeFiへ資金を移動させていた。DEXの利用は2022年以降増加傾向にあり、200%(3倍)以上拡大。一方で、同期間の中央集権型取引所での活動は横ばいで推移している。
取引銘柄は、ビットコイン( BTC )などの「価値の保存手段」とみなされるトークンが日本円取引の73.8%を占めて主流を維持しているが、取引量は低下傾向だ。一方で、イーサリアム( ETH )やソラナ( SOL )をはじめとするスマートコントラクト型トークンの取引シェアは15.4%へと拡大している。
また、日本の個人取引の拡大を制限してきた最大55%の最高税率に対し、約20%の申告分離課税へ移行する税制改革が進んでおり、2027年に向けた市場活性化が期待されるところだ。
東アジア地域における仮想通貨市場規模は3位が香港(1,922億ドル)、4位が中国(1,763億ドル)、5位が台湾(1,404億ドル)と続いている。中国が政府による公式な仮想通貨禁止令が存在するにもかかわらず、4位を維持していることには注目される。
チェイナリシスは、中国では中央集権型取引所の利用が制限されているため、市場の過半数がユーザー同士による直接的な個人間直接取引(P2P)取引の形態で行われていると指摘した。
特にP2P取引はステーブルコインが主導しており、P2P送金を行うウォレット数は43倍へ急増した。この背景として、チェイナリシスは2025年に社会信用システムが金融・インターネット分野へ拡張された影響を指摘している。
これによりブラックリストに登録され金融アクセスを失った個人や、既存の監視を回避したい事業者が、テレグラムなどで連絡を取りアドレスを共有して取引を継続しているとみられる。