暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのリサーチ部門は18日、現実資産(RWA)トークン化の最新動向についてレポートを発表。今後は、単により多くの資産をオンチェーンに持ち込むことだけでなく、発行された資産を流動性、貸付、担保市場などで活用できるようにすることが鍵だとしている。
レポートによると、2026年9月15日時点で、オンチェーンRWAトークンの運用資産総額(AUM)は341.8億ドル(約5兆円)に達しており、年初来で85.2%増加した。債券・マネーマーケットファンド(MMF)が182.9億ドルで最大カテゴリーを維持する一方、株式のAUMは約44億ドルだが390.4%という大きな伸びを記録している。
この2カテゴリーだけで、市場全体の増加額の4分の3以上を占める格好だ。成長のスピードは資産クラスによって大きく異なっており、金(ゴールド)・コモディティは46.6%、プライベートクレジットは43.6%、不動産は17.9%の伸びにとどまった。
レポートは、RWAの次の段階は、保有者が購入後にこれらの資産をどのように活用できるかにかかっているとして、二つの指標から分析した。
「PAR(プログラマブル資産比率)」はトークン化資産と、その原資産の市場規模を比較する指標であり、「CAR(資本活性化率)」はトークン化された資本のうち、どの程度がオンチェーンで実際に運用されているかを測定する指標だ。
現在、様々な資産全体のPARはわずか約0.01%にすぎず、トークン化はまだごく初期段階にあることが分かる。またCARは約12%であり、既存のトークン化資産の活用余地も、まだ大きく残されている状態だ。
資本活性化率(CAR)は、具体的にはトークン化資産のうち、どの程度が流動性プールやレンディング(貸付)、担保市場などのアプリケーションに投入されているかを測定するものである。
資産別ではプライベート・クレジット(非公開の形で企業などに対して行われる融資・貸付のこと)のCARが49.67%と最も高い。また、株式は年初来で1.95%から7.54%へと上昇し、最大級の伸びを記録したカテゴリーだ。
株式のオンチェーン活用は、流動性プールが65.4%、レンディングが28.1%を占め、合わせて93.5%に達している。つまり現在のところは、取引流動性や担保利用が中心である。
バイナンスリサーチは以前のレポートで、2030年のトークン化株式の運用資産総額が保守的シナリオで610億ドル(約10兆円)、基本シナリオで3,490億ドル(約55兆円)、強気シナリオで9,870億ドル(約155兆円)に達すると予測していた。現在の市場規模44.3億ドルをあてはめると、それぞれプログラマブル資産(トークン化資産)比率(PAR)が約0.04%、0.23%、0.65%まで伸びることになる。
その上で今回のレポートは、PARとCARの両方が共に上昇することが業界にとっては重要だとの見解を述べた。PARが高いほど資産基盤が拡大し、新たな金融アプリを支えることができる。一方、CARが高いほどトークン化資産の有用性が高まり、その後の普及を促進する可能性があるとしている。
バイナンスリサーチは11日にトークン化株式に特化したレポートも公開していた。この中では市場の競争軸が「発行競争」から「流通・利用競争」へと移りつつあるとして、資産活用手段を重視している。