暗号資産(仮想通貨)イーサリアム( ETH )の研究開発団体であるEthlabsのデレク・チャン(Derek Chiang)氏は14日、アカウント抽象化(AA)の実装で、イーサリアムとレイヤー2(L2)のベース(Base)が別々の規格を採用することになったとXで報告した。
AAの実装において、ガス代の肩代わりなどができる機能の導入やパスキーウォレットの実現といった中心的な目的に対する評価は一致しているが、こういった機能が何に準拠するのかが両者で異なると説明。最終的に両者はそれぞれ「最高のイーサリアム」と「最高のベース」になることを選択したと指摘している。
AAは、イーサリアムが現時点で2027年に予定するアップグレード「ヘゴタ(Hegotá)」で、AAをイーサリアムのネイティブ機能にする改善提案「EIP-8141:Frame Transaction(チャン氏も提案者の1人)」を実装する議論が進んでおり、最近は再び注目が集まっている。
今回の報告はあくまでチャン氏のX投稿であることに留意する必要があるが、注目度が高い技術に関する投稿で関心を集めている。
チャン氏は今回まず、仮想通貨業界が成熟してくるにつれて、イーサリアム(レイヤー1)とL2は、それぞれが提供する価値と、目標とするユースケースにおいて分化し始めていると指摘した。
同氏によると、イーサリアムが重要視しているのはCROPS。CROPSとは「Censorship-and-capture Resistance=検閲・捕獲耐性」「Open source=オープンソース」「Privacy=プライバシー」「Security=セキュリティ」のこと。今年5月には、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏もCROPSに言及している。
一方でL2についてチャン氏は、スケーリング(拡張性)、カスタマイズ、コンプライアンスを重視していると説明。これらは商業・企業用途におけるユースケースに必要なもので、イーサリアム自体が提供してこなかった要素であると主張した。
その上で、チャン氏はAAの取引について、イーサリアムは検閲耐性があること、プライベートであること、量子耐性があること、チェーンの許可なく開発者が自由に設計・拡張できるアカウントモデルを求めていると説明。具体的には、今であればEIP-8141のような規格を採用することになるとした。
一方で、L2は拡張性が高いこと、アカウントとトランザクションの許可において明確なルールを実行できるように判読可能であることを求めていると指摘。この場合は今であればベース側の「EIP-8130:Keystore Account」、また、決済向けのL1「テンポ(Tempo)」のような規格になるとした。
そして、両者は相互運用性のメリットを認めつつも、最終的にはそれぞれの中核の目標を優先して異なる規格を選ぶことになったと説明。この場合、断片化に対応するウォレットに負荷がかかると指摘した。
一方で、チャン氏は、断片化は必ずしも悪い結果を招くとは限らないとも述べている。ユーザーの問題を解決できないぐらいチェーンを均質化してまで断片化を軽減するのは、代償が高すぎると主張した。
その上で、もし実装に成功し、ウォレットのコミュニティが断片化の橋渡しができれば、エンドユーザーにとってより良い体験を提供できる可能性もあると述べている。