イーサリアム財団は、2029年12月までにネットワーク全体の量子耐性を確立するというロードマップを提示した。イーサリアム( ETH )メインネット(L1)の実行層、合意層、データ層の3層すべてにおいて量子耐性を持たせることを最終目標として掲げている。
目標時期については、グーグルやクラウドフレア、マイクロソフトなどが設定する2029年の移行目標に沿うものだ。量子コンピュータが既存の暗号システムを脅かす日(Q-day)が早ければ2030年にも到来するという厳しいタイムラインをあえて想定している。
財団は少なくとも2027年1月まで、この期限を「変更不可」なものとして扱う。2027年1月には、外部専門家の助言を得て量子技術の進展状況を再評価する計画だ。
イーサリアムは、次期大型アップグレード「Glamsterdam(グラムステルダム)」を今年12月に実施することを目指している。グラムステルダム後、5つのアップグレードを経て完全な量子耐性を達成する計画だ。グラムステルダムを今年12月にリリースする場合、1つのアップグレードあたり平均7.2か月というタイトな開発ペースが求められることになる。
また、平均12か月というペースになった場合でも、最小限の実行可能なポスト量子暗号(MV-PQ)を実装する予定であり、ネットワークのすべての構成要素がアップグレードされる前に、イーサリアムが量子耐性インフラへ暫定的に移行できるようにしている。
財団は、こうしたマイルストーンを達成するためには、エコシステム全体が協力し、研究、仕様策定、プロトタイプ作成を並行して行うことが必要だと述べた。
イーサリアムは、グラムステルダムの次のアップグレードとして「ヘゴタ(Hegotá)」を予定。ヘゴタ自体はPQ(ポスト量子)対応をメインとするものではない。しかしイーサリアム財団は、並行開発が機能するかどうかを含め「後に続く一連のPQアップグレードがスケジュール通りに実行できるかどうかを判断する上で最初のテスト」になるとしている。
なお、ヘゴタでは特定のビルダーに依存せず、有効と判断されたすべてのトランザクションを一定期間内にオンチェーンに組み込むことを保証する「FOCIL」や、セキュリティ面での量子耐性・鍵刷新(secp256k1からの移行)を支える「Frame Transactions(EIP-8141)」が最優先とされている。
イーサリアム財団は、量子コンピュータ対策に加えて、長期的にイーサリアムの性能や機能を拡張するために「高速ファイナリティ(取引確定)」「プライバシー」「ステート(状態データ)の増加への対応」「zkEVM(ゼロ知識仮想マシン)」の分野で研究を並行して進めるとも述べた。