テザー系ビットコイン保有会社トゥエンティワン・キャピタルの最高経営責任者を務めるラファ・ザグリー氏は先週、香港で開催されたカンファレンス「ビットコインアジア2026」で講演した。同氏は、ビットコイン( BTC )が史上初となる「ハッシュレート弱気相場」に入っていると指摘した。
ハッシュレートとは、ビットコインネットワーク全体の採掘(マイニング)に投じられている計算能力の総量を示す指標だ。ザグリー氏によると、ネットワークのハッシュレートは前年末に約1.3ZH/s(ゼタハッシュ毎秒)に達した後、緩やかな下落局面が続いており、過去最高値からの回復に要する期間としては最長になっているという。
同氏は、今回の局面は2021年の中国政府による採掘禁止後の下落とは異なると話した。当時は稼働停止で急激にハッシュレートが落ち込んだ後、採掘設備が他地域へ移転され比較的速やかに回復したのに対し、現在はAI・HPC(高性能演算基盤)向けという新たな電力配分の選択肢が登場している点が大きな分岐点となっているという。
こうした状況を踏まえ、ザグリー氏は上場する採掘企業の大半が大規模なビットコイン採掘専業から脱却し、AI事業へ軸足を移していると述べた。採掘専業を続ける上場企業はほとんど見当たらなくなった。
実際、2026年9月時点で採掘企業からAI・HPC事業への転換は進んでおり、上場採掘企業各社が発表した関連契約の累計額は700億ドル超に達している。採掘向けに整備した変電設備や送電網は、コアウィーブやマイクロソフト、アンソロピックといった大手クラウド事業者・AI企業への電力供給インフラとして転用されている。
また、コア・サイエンティフィックやテラウルフなど複数の企業では、データセンター賃貸によるAI関連収益が既存の採掘収益を上回った。旧ビットファームズのキール・インフラストラクチャーのように、米国内の採掘拠点を全廃しAI・HPC専業への転換を表明した企業もある。
一方、ライオット・プラットフォームズやクリーンスパーク、マラ・ホールディングス、ビットディアなどは採掘事業を継続しながら、AI・HPC向け電力契約の締結や施設転換も進めている。